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[5]亜瑠都氏からのカイアルカイ
by 螢
2013/02/14 18:02
とりあえず管理人なので先にポーンと貰ったやつ投げまーす(※二回目)



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君の両親が、突然いなくなった日。
素直で快活だった君はその日から変わってしまったね。
幸せそうに両親と笑っていた君はもういなくて、部屋に閉じ籠って涙さえ見せなくなった。
僕が話しかけても、遊ぼうと言っても、目すら合わせてくれず、返ってくるのは無言の拒絶だけで。
いつも目を奪われた、綺麗な銀の瞳は暗く濁ってしまった。
やっと元気になったと思ったら、君は嬉々として僕を傷付ける様になった。
まるで他人を傷付けることで、自分の辛さが軽減されるというように。
毎日、毎日、誰も見ていない場所で。
でも君は、僕の心を傷付けながら、笑ってるくせに、僕よりも誰よりも痛そうな顔をするんだ。
泣いている僕を見て、楽しそうなのに苦しそうで。
嫌だったのに、大嫌いになっていたのに、いつの間にか愛しくなってた。
笑ってよ、心の底から笑っていてよ。
そんなに寂しそうな顔をしなくても、僕はいつでも君の側にいるよ。
どんなに傷付けられても、僕以外には気付かれないくらいほんの少しだけど、心配そうにしてくれる君がいるから。
そんなに不安にならなくても、ちゃんといるよ。
僕は君を置いていかないよ。
だから、もう泣かないで。
そんなに自分を傷付けないで。

ふわりと頭に触れると、君が僕を追い詰めているはずなのに、びくりと体を震わせる。
そんな君に、そこまで人を恐れる君に愛しさが溢れて、頭を撫でつつ抱き締めた。

「……カイ?」
「…アル。
僕は、いなくならないよ。
君のずっとそばにいるよ。
だって…僕は君の、君は僕の、大事な家族だから」
「……………っ」

1つだけ嗚咽を溢して、君は声を上げて初めて泣いた。
泣き止むまで抱きしめて、手を繋いで一緒に帰った帰り道。

「…………約束だからな」
「うん、約束。
僕たちはこれから先…」

「「ずっとずっと、家族だ」」

* * *

「でね、アル。
あっちの図書館は蔵書数は少ないけど、貴重な文書がたくさんあって…」
「おいカイ、ちゃんと前見て歩け。ぶつかるぞ」

レジスタンスに入ってから久しぶりの、二人だけで過ごす休日。
僕のリクエストで、図書館を巡って歩く。
休日の街は、祭りでも近いのか、いつもに増して賑わっていた。

「えー大丈夫だよ……あっすみません…うわっ」
「お前ただでさえはぐれやすい……ってああもう!」

ぱしっ。

「……アル、何も手まで繋がなくても」
「こうでもしないとお前はぐれるだろうが!
まだいくつも回るつもりなんだろ?」

アルは僕の片手を掴んだまま、人混みをずんずんと進んでいく。

「……………変わったなぁ」
「あ?なんか言ったか?」

今は隣じゃなくて、少しだけ前を歩く幼馴染み。
でも、いつだって側にいる、大事な大事な僕の家族。
「……ううん、なんでもない」
「何笑ってんだよ……変なやつ」

今は遠い遠い、初めて手を繋いだあの日。
君は覚えていないかもしれないけど、あれは僕たちが家族になった特別な日。



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