――――燦々と照りつける太陽と、ジワジワと五月蝿い程の蝉の声。 銀時「うるせー!セミ!」 銀時はこの暑さの中、庭で一人黙々と、ではなく、あれこれ言いながら、ある作業をしていた。 それを縁側に腰掛け、団扇で涼みながら見ていた高杉は、その行動に疑問を抱き口を開く。 高杉「常時やる気のねェテメーが、このクソ暑ィ中さっきから何してんだ…」 銀時「お前な、やる気のねェは余計よ?こりゃあ穴だよ穴」 高杉「穴だァ?」 銀時「ヅラがさ、よくこの辺で気持っち悪ィくれェに野良猫とじゃれてんだよ」 どうやら銀時は、桂への“落とし穴”なるものを作っていたようだ。それを聞き、理解した高杉はフッ、と鼻で笑った。 高杉「そういう事か」 銀時「つか高杉ィ、見てねーで手伝って。意外とこの地面かってェんだよ」 高杉「あァ?そりゃ断る」 銀時「どうせヒマしてんだろ?」 高杉「いや、扇ぐのに忙しい」 そう言うと、高杉は団扇を素早く動かし、目を瞑る。 銀時「何それ、何パタパタ扇いでんの?腹立つよ?人が汗水流してんのに、その靡く髪腹立つよ?」 高杉「あー涼しい」 銀時「んのヤロォォォ…!!あーあー!優しくないなー!晋ちゃんは!!」 高杉「…………」 青空の下、態とらしく叫ぶ銀時。それを高杉が聴こえないふりをしていると、坂本がにこにこしながら歩いてきた。 坂本「おんしゃー、お天道さんの下何しちょるが?」 高杉「穴だとよ」 坂本「穴ー?」 銀時「辰馬、いい所にきた!手伝え!」 坂本「アハハハハ!楽しそーじゃのー!」 銀時に手招きをされ、坂本は庭に降りると、満面の笑顔で穴掘りを手伝う。 . -章内- -全章- |