銀時「うし、これで」

坂本「完成じゃー!」

高杉「…………」


漸く完成した落とし穴。汗を拭う二人に対し、唯唯それを見ていた高杉は退屈だったのか、現在夢の中。



桂「何しているんだ?」


(ガラーン…!)

銀時「お、お〜ヅラ」

桂「ヅラじゃない桂だ」


此処で、間良く桂が登場し、銀時はスコップ二つを隅へ投げた。
桂の手には大きな西瓜が持たれている。


坂本「お!スイカじゃー!」

桂「特売で安かったのでな。スイカ割りして食べるぞ」

銀時「いいじゃん」

坂本「晋助、起きるぜよ!スイカ食べるきに!」


“スイカ割り”の言葉に、銀時はニヤリとする。
坂本は、眠る高杉をバシバシと叩き起こした。


高杉「ってェよ…何だァ?」

坂本「スイカぜよ!」

桂「みんなでスイカ割りするぞ」

高杉「……へェ」


軽く返事をし、高杉は起き上がり欠伸をする。


桂「もう少しノらんか貴様!」

高杉「あーノってるノってる」

桂「嘘吐くな!」

銀時「いやいや、あれでも心ん中じゃノリノリよー?高杉くんは」

高杉「それも違ェよ」

坂本「アハハハハ!で、誰が割るんじゃ?」

桂「それはジャンケンだ」


何となく高杉もノってきた?ところで、西瓜を割る係を決める四人。


桂「出さなきゃ負けだぞ!ジャーンケーン」


―――――…



坂本「アハハハハ!勝ったぜよ!」


全力でジャンケンをした結果は坂本の一人勝ち。


銀時「ンだよー」

高杉「…………」

桂「よし、この辺にスイカ置くぞ……オッ!?」

(ズボッ)

桂「ぬぁっ!!!」


西瓜を置き、位置を確認した瞬間、真っ直ぐと穴に落ちた桂。腕から下は土の中。


銀時「うーし、綺麗に落ちた」

坂本「アハハハハ!!成功じゃー!」

高杉「幅もピッタリか」

桂「貴様ら…!!…むっ!抜けん…!!!」

銀時「んじゃ、始めんぞー」


桂の姿に各々納得すると、もがく彼を無視し、西瓜割りの準備をし始めた。




高杉「辰馬、これ着けろ」


高杉は自らがいつも巻いている鉢巻を持ってくると、坂本の目を覆うように巻く。


坂本「おー!全然見えんきに!」

桂「ちょ、待て貴様ら!このままやるのか!?」

銀時「当たり前じゃん」

高杉「愚問だろ」

坂本「アハハハハ!出陣じゃァー!」

桂「待たんかァァァ!!」


棒を持ち、やる気満々な坂本。残念ながら彼の耳に、桂の止めは聞こえていない。銀時と高杉は縁側に腰掛けた。



**




銀時「もうちょい右!」

坂本「こっちかー」

高杉「行き過ぎだバカ」

桂「右じゃない!もっとずっとひだ…銀時「辰馬、ヅラの言うことは無視しろー。少しだけ左」

坂本「左ー?」


“坂本辰馬”という駒を、苦戦しながら誘導する銀時と高杉。
桂の声は悉くかき消されていく。


桂「貴様ら本当にいい加減にしろ!!!」

高杉「モグラ叩きのモグラは黙ってろ」

桂「モグラじゃない!桂だ!」

銀時「いいぞーそのまま進め」

桂「違う!スイカはアッチ!!」

高杉「その辺で止まれ」

坂本「ここかー?よし、行くぜよ〜」

桂「ちょ!待てェェェ!!」


銀時と高杉の指示により、坂本は桂の正面に立った。

そして大きく振りかぶり――――…






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