魔王様のメイド3



   ◆◆◆◆◆



「なんでお前も止めなかったんだよ」
「こやつが、そちらの世界ではこういうプレイが主流なのだと言うから……」

 それで様子を見ていたのか。呆れて何も言えねえよ。
 応接間で虎を背凭れ代わりにふんぞり返って茶を啜る俺は、舌打ちを一つ零して背中に体重を預ける。

「カ、カイチョー、ごめんって〜」

 ずっと同じ体勢を強いられているロジ……じゃなかった、背凭れが何か言っているが聞こえない。
 あれからこの世界のご都合的な万能薬を煎じてもらった俺は、徐々に記憶を取り戻し今では完全に元通り。
 罰としてロジには背凭れになってもらっている。
 うむ、悪くない毛触りだ。

「それで、その、ユーリはまだ着替えないのか?」
「あ? もう慣れたよ、どうせ風呂入る時に脱ぐんだからこのままでいい、疲れたし面倒臭いし」

 基本的に羞恥を感じない俺だ。
 向かいのジークには組んだ足の間から何か見えているのかもしれないが、俺は気にせずロジに身体を委ねてだらけていた。
 今日は騙されたおかげでよく働いたので、身体が疲れてきっている。ゆっくり風呂に入って寝てしまおう。



「俺は! 疲れ、ってるって、言った……よな!?」

 そう言って、覆いかぶさって鼻息荒く首筋に顔を埋めるジークを睨みつけるが、聞いちゃいない。
 暫く応接間でロジを背凭れにダラダラしていると、今まで我慢していた理性がついに飛んだのか、突然立ち上がったジークに担がれて寝室まで運ばれたのが十分ほど前。
 すぐに意図を理解して暴れまくったが、短いスカートにノーパンなんて突っ込んでくださいと言ってるようなものだ。ばたつかせた足の間から尻尾を滑り込ませたジークは、そのままアナルに先端を挿入すると、慣れた様子で中をほぐしていく。

「ん、ぅ」

 すっかり受け入れることに躊躇いが無くなっている内壁は、むしろ喜んでその異物を受け入れた。ここまで来れば、抵抗するのも面倒臭くなってくる。
 とはいえ、悪態ぐらいはつかせて欲しい。

「有り得ねえ、お前全然反省してないだろ……ッ」

 徐々に熱を覚える身体に眉を寄せるが、ジークは聞こえていないのか、いつもより早急に尻尾を引き抜くと、自分のものを挿入して腰を振り始める。

「うあっ」

 あまりにも一方的なセックスに、俺は息つく間もなく、揺さぶられる身体を踏ん張ってジークの背中に爪を立てながら抗議した。

「くそっ、おい、おいって……っあ!」

 奥に強く打ち付けられて思わず高い声が出る。歯を食いしばって耐えていると、ジークはあっさりと果てて、荒い呼吸を繰り返しながら俺の上に伸し掛かった。

「こ、んな格好をしてる、ユーリが悪い」
「いや、お前が着てくれって言ったんじゃねーか」

 なんて責任転嫁だ。中途半端に昂ぶってしまい、熱の行き場をなくした俺は、燻る身体を持て余すように大きな息を一つ吐く。

「必死に真鍮を磨いている健気な姿といい、時折裾を引っ張って陰部を隠す姿といい、いつもよりいじらしいユーリに何も思わないほうがどうかしている」
「俺はお前の頭がどうかしていると思う」

 熱のこもった低い声で囁くジークに半眼を返せば、また中にいるジークのペニスが固さを取り戻しながら内壁を擦り始める。

「あっ」
「折角なのだ、どうせならもう少し『らしく』してみないか?」

 どうやら一回出して余裕が生まれたらしい、調子に乗ったジークの発言に、俺は逞しい胸板を押し返しながら抵抗を見せる。

「は、ぁっ!? 俺がなんでそこまで……っあ、んあ」

 しかし、伸びてきた尻尾が俺のペニスに巻き付いた瞬間、身体の力が抜けてシーツに腕を落とした。尻尾は先端から粘液を出しながら俺のペニスを擦りあげて、イきそうになる寸前で根本を絞めてくる。

「このまま焦らして楽しむのも一興か」

 ジークは悶える俺を微笑みながら見下ろしてくる。身体はすっかりジークを求めているのにお預け状態な俺は、降参のポーズを見せて口を開いた。

「わか、分かったって、付き合ってやるよッ」

 下半身が開放され、俺は仕方なく胡座を組んで座るジークの股間に顔を寄せる。さっきまで自分の中に入っていたモノを舐めるとか、どんな拷問だ。

「分かってると思うけど、別に上手くは出来ねえからな」

 そう言いながら、さっさと終わらせようと大きくそそり勃ったペニスを口に含む。フェラは初めてではないが、何度しても慣れることがない。慣れる以前に、こいつのモノが大きすぎるのだ。

「ん……は」
「ユーリ、私を見てくれ」

 言われて視線だけを上に向ければ、熱のこもったジークの金の目がギラギラと欲を孕ませていた。同時に、咥えているペニスが膨張して、俺は苦しさに眉を寄せる。
 それでも愛撫を続けていれば、ジークが俺の顔を取ってペニスから離すと、躊躇なく口付けを落としてきた。

「んむっ」

 この場合、自分のモノと間接キスになるんじゃ、なんてくだらないことを考えていると、尻に何かが滑り込んでくる感触を覚えて、肩を揺らす。また尻尾を突っ込まれて、中に感じる体液に俺は唇を離して腰を浮かせた。

「あっ、ちょ、ずる……っ」

 媚薬効果のある粘液は、その量が多ければ多いほど理性を奪っていく。俺はジークにしがみついて胸に顔を埋めると、自分のペニスを擦り付けて懇願した。

「あ、あっ、あっ、や、ジーク、頼むから……ッ」

 そう言って見上げれば、自分も限界が近いくせに笑みを浮かべるジークがいる。俺は求められている言葉を理解して舌打ちすると、せめてもの腹いせに赤く長い髪を引っ張って顔を寄せた。

「ご、主人様のっ、大きいこれを……、挿れてくださ……っ」

 台詞は可愛いが、顔は「後で覚えていろ」と言わんばかりに頬を引き攣らせ、こめかみに青筋を立てている。それでも十分興奮したのか、ジークは俺を持ち上げて膝に乗せると、ペニスを中に突き立てた。

「ああァァ……っ!」

 一気に腹まで深く入ったそれの圧迫感と衝撃に、俺は目尻に涙を浮かべる。ジークの首にしがみついていると、動けと言わんばかりに尻を揉まれて、小さく腰を揺らした。

「ひっ、ひん、ん……ッ」

 前立腺を擦られ、亀頭で奥を抉じ開けられる。下腹部が熱くて腰は持ち上がらないし、スカートの裾が自分のペニスに擦れてもどかしい疼きを覚えるし、我慢できず触ろうとすればジークに止められる。

「もっ、ア、んあっ、いい、っかげんに――ッ」

 涙目のまま睨みつければ、唇が重なって舌を絡め取られる。酸素が脳に回らなくなって、ぼうっとしてくる意識の中、ジークは俺の尻を持ち上げて何度か強く奥へと打ち付けた後射精した。

「ひあ、あ……はっ」

 中にどろりとした熱を感じる。
 目の前の胸板に体を預け肩で大きく息をしながら、そういえば俺イったっけ? と考える暇もなく、また下腹部に感じる快感に、俺は首を振って逃げるように身体を捻った。

「や、せめて一回イかせ……っ」
「なら『ご主人様イかせてください』と、可愛く強請ってみてはくれぬか」

 しかし、ジークはそんな戯言を口にしながら、逃げる俺を今度はうつ伏せに倒すと、ケツを持ち上げて容赦なく中を犯してくる。

「あっ、あっ、あぐっ」
「こすぷれというものは、なかなか楽しいな」

 まさかこれ、ジークが満足するまでメイドプレイに付き合わされるのか。
 いつもより強引なジークに激しく腰を揺すられる中、俺は全ての元凶であるロジを恨みながらシーツを強く握りしめた。

「絶対ッ、二度とコスプレなんてするか……っ」

 ――とは言ったものの。
 翌日、事情を聞いたのか「仮にも魔王のヨメに何をさせるのだ」と怒鳴りながら帰ってきたユイスが、ぴっかぴかの真鍮に感動して珍しく甘やかしてくれたから――少しだけメイドも悪くないと思ってしまった俺も、単純だけどな。



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(C)siwasu 2012.03.21


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