窓の外の景色は徐々に住宅が少なくなってきて、オフィスビルが立ち並ぶ。 次の駅で人混みも減るだろう、そうすればクソガキを守る騎士の役目も終わりだ。適当に空いた席に座らせて、俺は少し離れた場所でスマートフォンを弄りながら目的地に到着するのを待つ。それでいい。 それまで両手が塞がっている俺はもう一度「乱」になりきって心を無にしようと上の広告を見上げた時だった。突然腹に生温い何かが這って驚きに肩を大きく跳ねさせる。 「ひっ」 慌てて目線を落とせば、スラックスに押し込めていたシャツの裾から手を突っ込んで腹を舐めているクソガキと、いつの間にか外したベルトを引き抜いて前を寛げ出すクソガキ。 カチャカチャ、ジィーなんて生々しい音が耳に入ってきたところで、俺はようやく状況を理解した。 「お前ら何してっ」 「しー、だよお兄ちゃん」 「しゃべっちゃダメって言ったのはお兄ちゃんだもんね」 そっくりな顔のクソガキ共は、自分の唇に指を当てながら天使のような笑みで俺を見上げる。 いや、その顔に騙されないからな、実際やってることは天使じゃなくて悪魔だからな、だからこんな公共の場で俺のチンコを取り出すのはやめなさい、やめろって言ってんだボケ。 「お兄ちゃんの顔がこわいよぅ」 「お兄ちゃん、今さわぐといたいけな小学生におちんちんを見せつけるヘンタイさんになっちゃうよ」 「ぐぐぐぅぅぅぅ」 誰のせいだ誰の。 しかしクソガキの言う通り、後ろのサラリーマンにこんな状況を見られでもすれば小学生の顔にチンコを擦り付けてハァハァ言ってる変態男子高校生だと思われるに違いない。 それだけは何としても避けなければならない。そう、例え取り出したチンコをクソガキ共が口に含み始めたとしても、だ。 「んっぐ、ぅ、お前ら……っ」 今にも怒鳴りそうになった声を押し殺して、俺の息子をまるで縁日の屋台で買ったチョコバナナのように頬張るクソガキ共を見下ろす。 嬉しそうに目を細めて上目遣いに笑う姿はAV女優も顔負けのテクニックである。そんな技術を小学生から身につけてどうする、将来何になるつもりだ。 [ ←back|title|next→ ] >> index (C)siwasu 2012.03.21 |