02


「うっ、うぅぅ……」

 先ほどの強引な動きで体力を削られたシスは、ぐったりとその場で項垂れる。

「どぉすんだよ」
「僕が聞きたいくらいだ……」

 この穴を抜けることができなければ、エルフの集落には辿りつけない。だが、その穴をシスが塞いでしまっている。
 こんなことならマオを先に通せばよかった。
 後悔するも、起きてしまった現状が解決されるわけでもなく、シスは悲しみに暮れた。
 顔をあげると、遠くに住居が見える。おそらくあれがエルフの集落だろう。

(……助けを求めるか)

 しかし、光の剣を手にすべく試練を受けに来た自分たちが、こんなくだらないことで足止めを食らっているなんてバレたりでもしたら、試練すら受けさせてもらえないかもしれない。

「お前のケツがデカいから悪いんだぞ」
「ひぎぃっ」

 にっちもさっちもいかなくなった状況に苛立ったのか、マオが半眼でシスの尻を強く引っ叩いた。
 バチンと心地良い音が響き、シスは背を仰け反らせる。

「き、貴様が通れそうだと言うから……っ」
「はぁ? 俺のせいだっていうのかよ、ああ、そう」
「ヒっ!」

 また臀部を叩かれて、シスは大殿筋に力を入れた。振動を与えられてもっちりとした尻は、ゼリーのように揺れている。

「そもそも、先に通るって言いだしたのはお前だからな」
「そ、それは……ひぐっ」

 シスが言い訳をするたびに、手のひらが容赦なく落ちてくる。
 痛みに呻いていると、畳みかけるようにマオは言った。

「俺が先に通ってれば、あとは一人でもどうにかできたのに」
「あぅっ」

 また手酷く叩かれて、シスは瞼の奥に熱を溜める。
 子供の頃でもこんな折檻は受けたことがない。壁に固定されているせいでろくに抵抗もできないシスは、辱めに唇を噛み締めた。
 しばらくして、静かになった下半身側を不思議に思っていると、下衣が下着ごとずらされてぎょっとする。

「な、なにして」
「ん? 悪いお尻にお仕置き」

 パシィンッ!

「ひんっ!」

 マオの言葉と共に、露わになった白い双丘へと手のひらが落ちてくる。布の上からとは違い直接与えられる鋭い痛みに、シスは逃げるように腰をくねらせた。

「や、やめ……っ」
「やめねえよ、お仕置きだっつっただろ」

 パァンッ!

「あぁッ!」

 また平手が落ちてくる。それは一度や二度では終わらず、何度も白い肌に叩きつけられた。

「ったく、尻だけこんなに肥えやがって」
「い……っ!」

 パンッ!

「女でもねえのに安産型でどうすんだよ」
「やァッ!」

 パァンッ!

「それとも色んな男を咥え過ぎてデカくなったとか?」
「ち、がぁ……っン!」

 パシィッ!

「考えてみりゃ、初めてにしてはイきまくってたもんなァ」
「ひンッ」

 バシィッン!

「純情ぶってたけど、実はヤリマンなんだろ」
「そんなこ、とぉッン!」

 パシンッ!

「じゃあなんでこんなデカケツなんだ、よっ!」
「はあぁぁぁン……ッッ!」

 パアァッン!

 尻を叩かれるたびに、肌がじんじんと痛みを覚え、奥に振動が伝わってくる。ビリビリとした刺激は、徐々に痛み以外の疼きをシスに与え、その悲鳴も僅かに甘さを孕むようになってきた。

「は、はーっ、はっ」
「謝れよ、シスのせいで進めねえんだぞ」

 手を止める頃にはすっかり赤く腫れあがったシスの尻たぶを、マオは乱暴に掴み割り拡げる。

「は……ぁ、わ、るかった」
「心がこもってねえ」
「ひぁっ」

 また手のひらが落ちてきて、シスは喉を引きつらせた。
 今回の件に関しては自分に落ち度がある。素直に非を認めたシスは、マオの要求に従って謝罪の言葉を紡ぐ。

「す、すまなかった。僕が道を塞いだばかりに……ぅあんッ」
「違うだろ、塞いだのはこれじゃねえか」
「ンぁっ」

 そう言ってマオは尻たぶを乳房のように揉みしだく。
 疼いてしまう淫らな体を窘めながら、シスは唇を震わせる。

「あ、お、おしりがふさいで」
「大きな、だろ」
「や、ぁンッ!」

 パシィッッ!
 真っ赤に腫れた尻が魚のように跳ねた。
 シスには見えないが、直立で立たされた尻は、現在マオの顔面に向かって突き出すような恰好をしている。
 そのマオの下卑た表情を一目でも見ていたなら、シスはこんなにも素直に言うことを聞かなかっただろう。
 口調だけ聞けば本気で怒っているように感じられて、どんどん罪悪感が募っていく。

「うっ、ううっ、ぼくの、おしり、おおきいせいで……っひい!」
「だよな、すぐ男を誘うエッチで悪いケツだよな」
「は、ぁ、ぼくのわるい、おしり……あぁッ!」

 バシィィッッッン!

 上手く言えないシスの尻に、手加減のない平手が落ちる。

「ちゃんと自分で言ってみろ」
「ぼ、くのおしり、は、おおきくてえっち、な、わるいおしりだ」
「謝罪するなら敬語を使え」

 パァァァァーッン!!

「んひぃっ! ぼくのおしりは、ぁっ、えっちでわるいこですぅぅぅッ、ごめんなさいぃ……ッ」

 ひと際強く叩かれ、ついにシスはプライドをかなぐり捨てて、みっともなく謝罪の言葉を口にした。


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(C)siwasu 2012.03.21


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