09


「んあっ あっ、ぼぉっ、ぼく、にょ、ぉ……アッ、アッ、ひ、きもちひ、いとこ、ろォ ……ンアァンッ!」

 シスが言い切ると同時に、マオの膝が背中に入り込んできた。
 膝頭を肩に押しつけられ、シスの尻は天を仰ぐ形となる。マオの世界ではまんぐり返しと呼ばれる体勢だ。
 ぱっくりと晒された窪みの中には二本の指が挿入されたまま、関節を曲げてシスの前立腺を押し潰す。

「ここか? なぁ、ここがシスの気持ちいいトコロなのかよ」
「ひぎゅぅっ、アッアッ、アーッッッ、ンァ、あンっ、や、あぁっ、お、おす、なぁッ」
「でもここ弄ると、中がすっげえ締まるんだけど。ちゃんと気持ちいいんだよな?」
「ンアァーッ! あっ、ぎもちイッ、イイっからぁっ、あんッ、とめてっ、く、れぇッ」

 じゅぽっじゅぽっ、ぐぽッ、ぐぷぷぷぷ、ぐりゅん、ぐぱっ。

 マオの激しい動きに、孔から潤滑剤がしぶきをあげた。
 股の間では、勃ちあがった逸物がぶるんぶるんと揺れている。
 シスは、苦痛すら覚えるほどの快楽に泣き叫ぶ。その表情を見てマオは背筋を震わせた。

「気持ちいいなら、もっとした方が嬉しいんじゃねえの」
「アァァッッッン! あっ、アッ、んあっ、アッ、りゃ、ぁめ、も、でちゃ……ッ」
「あ? イきたいならイけばいいだろ」

 絶頂が近いと思ったのか、指の動きは更に激しくなっていく。
 シスは何度も首を振って両手を突き出した。

「ち、ちがぁっ、アァァッ! と、とまッ、れぇっ」
「はぁ? イっていいってんだからイけ、よ!」

 ずぽっにゅぽッぐぽっ、じゅぽッ、ぐりゅりゅりゅッ!

 強情な態度にマオが焦れ、ひときわ強く擦り上げた。
 それが決定打になったのか、シスは歯を食いしばると、マオの指を千切りそうなほどの強さで締めつける。

「ひぎ……ッッッ、〜〜ッッッう、ア、あァァッンンんンッ!」

 プシャアアァァァァァァアアァァァァアァァァァッ!

 喘ぎ声に合わせてシスの逸物から勢いよく体液が放たれる。
 それは粘り気の無い透明色で、マオは咄嗟にシスの顔を守るよう掌で覆い隠した。射精時とは比べものにならないそれは、四方に飛び散ると残った雫をシスの胸元に垂らしていく。
 マオは手をゆっくりと持ち上げた。その向こう側ではシスが子供のようにぐずぐずと泣いている。
 漏らしたとでも思ったのだろう。濡れた手の甲を舐めとると何の味もしない。

「ひっ、えぐっ」
「やっべ、男の潮吹きとか初めて見るわ」

 胸元に飛び散る体液を塗りたくりながら、マオは湿った指で胸の突起を摘まむ。
 びくびくと震える体は、すぐにまた性の象徴を起立させた。

「し、お……?」
「そーそー、漏らしたわけじゃねえから気にすんなって」

 涙と鼻水に濡れた顔。汗で髪が張り付き、泣きすぎて腫れた瞼の奥で、てらてらと濡れた瞳が揺れている。
 そんなシスの姿を見て、マオは一度自分の股間を見つめると、納得したように頷いた。孔から指を引き抜くと、代わりに潤滑剤を流し込む。潮吹きの後で緩くなった孔は、すぐにその粘液を飲み込んでいった。

「ンぅ……な、あ」

 放心していたシスは、体内に流れ込んでくる違和感に下腹部を見上げた。
 窪みの奥に潤滑剤が流し込まれる。布ずれの音が聞こえてくる。
 そして、股の間から現れたそそり立つ逸物を確認して、ようやく我に返った。

「ま、待て……貴様、何をする気だ」
「そりゃあ、ここまで楽しんだらあとはぶち込むだけだろ」

 マオは、そう言って潤滑剤で湿った窪みに自身の先端を宛がうと、馴染ませるように塗りこんでいく。
 そんな感覚すらも反応してしまう自分を抑えながら、シスは可能な限りの力で大殿筋に力をこめた。

「そ、それならスマタでも……」
「ここまでケツ準備したのに今更何言ってんだ」

 そう答えるマオの様子に、シスは眉を寄せた。話が違う。彼の行為は治癒が目的だったはずだ。
 シスはそこで気付いた。

(何かおかしくないか……?)

 マオの言葉を思い返すも、自分自身曖昧なところが多く、大事な言葉は思い出せない。そもそも、大事な言葉などマオの発言の中には一つも存在していなかったのだが、シスはここに至る経緯があったはずだと、生真面目に記憶を手繰り寄せていた。
 勿論、どれほど手繰り寄せようとも、シスが快楽に流されていただけなので全く意味はない。

「な、中のものを出すだけ、じゃ」
「え? 綺麗にするとは言ったけど。あー……なんだっけ。きれ、きよ……あぁ、そうそう、お清めセックス」
「オ、オキヨメ……?」

 異界独特の言葉だろうか。単語の意味を考えるが、沖と嫁が性交渉と何の関係があるのか、さっぱり分からなかった。
 そもそも「沖嫁」ではなく「お清め」なので分かるはずもない。


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(C)siwasu 2012.03.21


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