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そして結局、最後まで残ってしまった私。
気がつけばもう少しで19時になろうとしている。
この辺で切り上げるべきだろう、だいたいは観察し終えたし。
戸締まりもしっかり確認し、電気を消したのだった。
う〜ん……このまま帰る気はしないし……久しぶりにカフェに寄っていこうかな……。
立花さんに昨日のキスの理由も知りたいし。
電車に乗ってカフェに向かうと、そこには電気が一切通っていないお店があった。
「あれ……?」
《CLOSED》と掲げられた札の下には、第1・第3月曜日は19時までとさせていただきますとの貼り紙が……。
「あれ、そんなこと言ってたっけ……忘れてたぁ〜」
そうなんだぁ、早いのか。
なら、仕方ないか……。
立花さんにも会いたかったのにな……。
「帰ろ……」
「──あれ? 新城さん?」
「え……立花さん!?」
裏から声が聞こえたかと思えば、そこには荷物を持ち上げようと腰を折る立花さんの姿があったのだ。
「もしかして、店に来てくれたの?」
「あっ……はい、そのつもりだったんですけど……。今日、お店が早く閉まるだなんて知らなくて……」
いざ思うと、意外と話しづらいものだ……。
「そうだったんだ……。じゃあ、中で好きなもの淹れてあげるよ」
「えっ!? でも、まだ荷物が……」
「いいよいいよ。こんなの、いくらでも後で入れられるから」
「でも……」
「遠慮しないで。今はお客様をおもてなしするのが大事でしょ?」
う……ここまで言われると断りきれないよね……。
「わかりました……。お願いしてもいいですか?」
「うん。どうぞ」
結局、立花さんの誘いを断りきれずに裏からお店に入らせてもらった。
すぐ休憩室があり、先日私とともに買い出しで購入したものが乱雑に床に置かれている。
「ごめんね、散らかってて。俺ってちょっと面倒臭がりなところがあって、ついつい適当に置いちゃったんだよね」
「ええっ、立花さんにそんなところがあったんですか!?」
「そりゃあ俺だって人間だし。短所ぐらいはあるよー」
「へぇー……立花さんって隙を見せない感じがあるんで、勝手に思い込んじゃってました」
「あはは、昔からよく言われるよ。さて、と。何か飲むんだったよね?」
「じゃあ……いつものキャラメルマキアートでお願いします」
「かしこまりました」