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「──ごめんね、家まで運んでもらっちゃって」

「い、いえ……っ」


 買い出しを終えたあと、材料は立花さんの家で保存しておいて明日、カフェに持っていくということで、成り行きで立花さんの部屋に上げてもらってしまった。
 大きなマンションで驚いてしまったけれど、住んでいるマンションは叔父さんが管理しているらしく、おまけにはここからならカフェに近いからという理由で借りているそうだ。


「実はここ、黒川さんの彼氏、忍田さんも住んでるんだよ。ちょうどこの上の部屋」

「へぇ〜そうなんですね〜」

「だからよく黒川さんも見かけたりするんだよ。はは、ほぼ同居って感じらしい」

「そうみたいですね」

「ちょっと待ってて。コーヒー入れるから。──あ、ブラックじゃない方がいいよね?」

「は、はい……。すみません」

「いいよいいよ。ここまで付き合ってもらっちゃったし」


 優しいなぁ……。
 コーヒーを淹れる立花さんも素敵だし、目に保養って感じ。

 コーヒーを淹れる立花さんの姿をしばらく見て待つ、それからして立花さんはカップを持ってソファに戻ってきた。


「はい、どうぞ」

「ありがとうございます。──うわぁ、マキアート……! うさぎ! 可愛いです」

「そう? よかった。マキアートは今、ちょっと練習しててね。もともとやってたんだけど、もっと種類増やしたいと思って」

「へぇ〜そうなんですか〜! 最近お店行けてないから……今度機会があれば行って頼みます!」

「はは、ありがとう。待ってるね」


 飲むのもったいない……けれど、飲まないのももったいないよね。
 一口含むと、ラテのほんのり苦い感じとクリームの柔らかい甘みも広がって美味しい。


「美味しいです」

「ありがとう。新城さんのおかげで自信作になりそうだよ」

「へへ……うれしいです」


 ホントに美味しいなぁ……。
 こんなカフェラテ──


「毎日飲みたいなぁ……」

「ん?」

「えっ? ──あ……! 私、つい口に出ちゃいました……。それぐらい美味しくて」

「はは……そっか。うれしいよ、そんな風に言ってもらえると。──でもね……ダメだよ、そんなこと言っちゃ」

「え?」

「俺ならまだいいけど……他の男が聞いたら勘違いするよ。告白されてるかもって」

「え……えぇ? 別にそんな意味で言ったんじゃないんですけど……」

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