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「おはよ、結ちゃん」
目を覚ますとすぐ近くに忍田さんの柔和な表情が飛び込んでくる。
「お、おはようございます……っ」
「ん。どう? 体の調子は?」
「だ、大丈夫です……」
「それはよかった」
忍田さんがすぐ側に置いていた腕時計で時刻を確認すると、4時を指していた。
「ああ……もうこんな時間か。ちょっと早いけど、朝食の時間にしよっか」
忍田さんが布団から出る、私も布団を体に巻き付けて上体だけ起こした。
そのときに見えた忍田さんの体が思いのほかたくましくて……エッチを思い出してしまう。
私……本当に忍田さんに抱かれてたんだ……。
あんなたくましい体で……。
「ん? どうしたの、結ちゃん? 顔が真っ赤だけど」
「えっ!?」
軽くシャツを羽織った忍田さんが振り返った矢先に指摘されて、つい顔を両手で覆い隠すと確かに火照っていた。
「さっきのこと、思い出しちゃった?」
ギシ──と音を立てて片腕をつき、私の唇にキスした後、忍田さんがニコリともニヤリともつかない笑みを浮かべた。
その瞬間にもはだけたシャツから筋肉質の肌が露になっていて、嫌でも目に入る。
うわわ……! ちょっと待っ……ホント、すごい体……!
「あ、もしかして俺の体のこと気にしてる?」
「えぇっ!? そ、そんなことはっ……」
「あはは、わかりやすいなぁ結ちゃんは。俺、ジム通いが日課でね。営業だから動き回るから体力勝負だろ? だから日常でも鍛えてるんだよ」
「そ、そそそ、そうなんですか!」
「おもしろい反応だなぁ〜」
「か、からかわないでくださいっ!」
「あはは、ごめんごめん。そだ、結ちゃん、コーヒー淹れてよ」
「ええ? 急になんですか」
「拗ねないでよ。俺、ずっと夢だったんだよね。結ちゃんのコーヒーを自宅で飲むのが」
「……わかりました、やります」
「やった、ありがとう」
こんなことで喜ばれるなんて……忍田さんって意外と単純なのかも。