page - 02


 久しぶりに来た駅ビルは、前に来たテナントには別のお店が入っていて、新しいものや今流行りのものがあちこちに並んでいて、目移りしてしまう。

 うーん、ちょっと迷っちゃいそう……。


 どちらかと言えば方向音痴の私は、いつも絢未に案内されるままショッピングすることが多い。
 確か……空間把握能力? が平均より高いって、自分で自慢していたように記憶している。


 とりあえず、この辺をぐるりと一周してみよう……。


 この階はアクセサリとか雑貨のフロアだ……。
 それにしても、久々なせいか、新しくできたショッピングモールに来た気分だ。


「あ……」


 あるところのアクセサリショップで止まる。
 店頭で綺麗なブレスレットに目を奪われた。
 シャンパンピンクのチェーンに、ワンポイントとして蝶がついたシンプルなものではあったけれど、その蝶には小さなガラス玉が散りばめられていて、とても綺麗に見えた。

 綺麗……。

 でも、ちょっと高いなぁ〜……。


 他にどんなものがあるのだろうと見てみると、比較的シンプルなデザインが多く、やっぱりちょっとしたところに工夫が施されていて、なかなかに凝ったお店みたいだ。
 そして、ちょっと高い……。

 また店頭に戻って、魅せられたブレスレットを見つめ、思案する。
 決してこれを買ったからと言って生活が苦しくなるわけではない、けれど、もし万が一があればツケが回ってくるかもしれない。
 とは言え、またいつ駅ビルに訪れるかも……。
 ──うう〜ん……。


「あれ? 結ちゃん?」

「えっ? ──あっ、忍田……さん」


 突然、耳に入った柔らかな声を聞いてはっとした私は、声をかけられた先に振り向くと、そこには忍田さんの姿があった……。


「ど、どうしたんですか? こんなところで」

「ん? あぁ〜……仕事でね。打ち合わせをしててね、その帰りなんだよ。──結ちゃんは……ショッピング、かな?」

「は、はい……今日は講義もなくて……」

「へぇ、そっか。うん、私服の結ちゃんも可愛いね」

「えっ!? あっ、そう……ですか?」

「そりゃもう」


 う──うわぁあああああ……!

 なんで、そんなにストレートに言えるの!?

 って、っていうかっ……この前、酷いこと言っちゃったのに……。

- ナノ -