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久しぶりに来た駅ビルは、前に来たテナントには別のお店が入っていて、新しいものや今流行りのものがあちこちに並んでいて、目移りしてしまう。
うーん、ちょっと迷っちゃいそう……。
どちらかと言えば方向音痴の私は、いつも絢未に案内されるままショッピングすることが多い。
確か……空間把握能力? が平均より高いって、自分で自慢していたように記憶している。
とりあえず、この辺をぐるりと一周してみよう……。
この階はアクセサリとか雑貨のフロアだ……。
それにしても、久々なせいか、新しくできたショッピングモールに来た気分だ。
「あ……」
あるところのアクセサリショップで止まる。
店頭で綺麗なブレスレットに目を奪われた。
シャンパンピンクのチェーンに、ワンポイントとして蝶がついたシンプルなものではあったけれど、その蝶には小さなガラス玉が散りばめられていて、とても綺麗に見えた。
綺麗……。
でも、ちょっと高いなぁ〜……。
他にどんなものがあるのだろうと見てみると、比較的シンプルなデザインが多く、やっぱりちょっとしたところに工夫が施されていて、なかなかに凝ったお店みたいだ。
そして、ちょっと高い……。
また店頭に戻って、魅せられたブレスレットを見つめ、思案する。
決してこれを買ったからと言って生活が苦しくなるわけではない、けれど、もし万が一があればツケが回ってくるかもしれない。
とは言え、またいつ駅ビルに訪れるかも……。
──うう〜ん……。
「あれ? 結ちゃん?」
「えっ? ──あっ、忍田……さん」
突然、耳に入った柔らかな声を聞いてはっとした私は、声をかけられた先に振り向くと、そこには忍田さんの姿があった……。
「ど、どうしたんですか? こんなところで」
「ん? あぁ〜……仕事でね。打ち合わせをしててね、その帰りなんだよ。──結ちゃんは……ショッピング、かな?」
「は、はい……今日は講義もなくて……」
「へぇ、そっか。うん、私服の結ちゃんも可愛いね」
「えっ!? あっ、そう……ですか?」
「そりゃもう」
う──うわぁあああああ……!
なんで、そんなにストレートに言えるの!?
って、っていうかっ……この前、酷いこと言っちゃったのに……。