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「お疲れさまです〜」
「ああ、黒川さん。お疲れさま。──あ、新城さん。来たんだ」
「はい。たまには、と思って」
「じゃあ、いつものでいいのかな?」
「はい、お願いします!」
久しぶりにレ・エ・カフェのものを口にする気がするなぁ〜。
ああ、それにしても制服姿の立花さんもかっこいい……。
立花さんが奥に消えると同時に、結も奥のスタッフルームに向かった。
「ね……ねえ。新城さん……だっけ?」
「え? あ、はい……そうですけど……」
オーダーの品を待つ間、店員さんが話しかけてきた。
確か、結が『真美さん』と呼んでいた気がする。
「チーフと付き合ってるって聞いたんだけど……ホント?」
「え? は、はい……そうですけど」
「そうなんだ〜! チーフってかっこいいよね〜! あっ、結ちゃんから私のこと聞いたことある? 真美って言うんだけど」
「は、はい。よくお世話になってる先輩がいるって聞いたことあります」
「そうそう、その先輩! 立花さんってかっこいいじゃない? うらやましいなぁ」
「は、はあ……」
おしゃべり好きって聞いたことあったけれど……なんてまあ、フレンドリーな人なんだろうか。
「結ちゃんもイケメンな常連客とくっついちゃったし……ホントいいなぁ。結ちゃんも新城さんも、素敵な人できてよかったねぇ〜」
「は、はあ……ありがとうございます」
「今度、結ちゃんと一緒にお話しさせてね!」
「は、はい。私は大丈夫ですけど……」
「約束ね!」
「はい、どうぞ。キャラメルマキアートとはちみつがけトースト」
「ありがとうございます……!」
「真美さん、何話してたの? 真美さんのおしゃべりなところは悪いところだからね」
「はぁ〜い。あっ、次のお客さまどうぞ! じゃあ、新城さん、お幸せにね」
「は、はい……ありがとうございます」
「立花さん! 交代します!」
真美さんが次の客の接客しに行ったところで、支度を終えた結が出てきた。
「うん、じゃあよろしくね。お先に失礼します」
「お疲れさまでした〜」
「じゃあ……新城さん。悪いんだけど、スタッフルームに来てもらっていい? この前みたいに、脇から入ってきてくれていいから」
「え? あ、はい……わかりました」
立花さんがにこりと微笑んで奥に引っ込む、私も立花さんから指示を受けたとおりにお店の脇から裏口に向かった。