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あれやこれやと結に押しつけられ、とにかく渡されたものを順々に試着してみる。
ビキニ、ビスチェ、バンドゥ、ワンピース……今年のトレンドを取り入れたあらゆるタイプの水着を試着した。
「結ってあんなにはしゃぐタイプだったかなぁ」
ぶつぶつ言いながら最後の水着──最初に勧められたオフショルダーの水着を着てみる。
白のボリューミーなフリルがついた、花柄のスカートタイプの水着だ。
「あ……かわいい、かも」
ガーリーはあまり着るタイプではないのだけれど、だからこそ新鮮でかわいく見える。
「絢未ー? 決まったの──って、かわいい!」
「わっ、勝手に開けないでよ!」
結がカーテンを少し開けて隙間から顔を覗かせる。
「何それ〜めっちゃかわいい〜」
「ちゃ、茶化さないでよ!」
「いやいや、茶化してなんかないよ〜。似合ってるよ、絢未!」
「そ、そう?」
「うんうん、普段ガーリーって着ないから新鮮だなぁ〜」
「そう、かな……」
「立花さんもきっとびっくりするね! よし、それにしよう、買おう!」
「わっ、ちょっと! 引っ張んないで……これ脱がないと〜!」
引っ張り出そうとする結をなんとか制し、結にべた褒めされた私はその水着を購入した。
「これで海デートもばっちりだね〜」
「そ、そうだね」
「そういえば今日、18時からバイトなんだけど……一緒に行く?」
「うぅん……そうだね、このあとも用事ないし」
「じゃあ決まりだね。新しい水着買ったとか言わないでよ? サプライズ感なくなっちゃうから」
「はいはい……」
まあ……立花さんに会いたいなって思っていたし。
それに、なんだかんだ海デートも楽しみになってきたなぁ……。
「今日は立花さん、結と交代だっけ」
「うん、そうそう。絢未も立花さんのシフト覚えちゃったんだ?」
「うん、まあね……。私もマンション通いだし」
「あはは、なんかつい入り浸っちゃうんだよね」
「わかる、そのまま流されちゃって帰りづらくなっちゃうんだよね」
二人だけのあるある話に花を咲かせ、私たちはもう少し駅ビルでのんびりすることにしたのだった。