page - 08





 あのあと、私は気絶してしまい、気がつけば立花さんに……う、腕枕をされていた……。


「立花さん……?」

「ん……んん……? あ……新城さん。おはよう」

「お、おはようございます……」


 立花さんが力なく笑った。
 普段の営業スマイルなんかじゃなく、くしゃっとした笑い方。
 きっとこれが素なんだろう。


「大丈夫? 腰とか……痛くない?」

「は、はい……大丈夫、です」

「そっか、よかった。俺も久しぶりでつい燃えちゃったな」

「も、燃え……?」

「あはは、気にしないで。でも……気持ちよかった?」


 ニコ、そう微笑んでみせる立花さん、この微笑みはいわゆる『ニヤリ』に値することがよくわかった。
 だからこそ、かぁあああっと顔が熱くなる。


「き………………。気持ち……よかった……です……」

「ふふ、そっか」


 私の答えに満足したのか、チュとキスを落とされてしまった。
 さらに顔が赤くなった気がした。


「ふふ。可愛いね、新城さんは」

「〜〜っ! か、からかわないでください……!」

「からかってなんかないよ。新城さん見た目はギャルっぽいのに、すっごい奥手だし。顔もすぐに真っ赤になっちゃうし。何か……小動物見てるみたいな?」

「しょ、小動物……っ!?」

「あー、でも小動物とじゃセックスできないね。んー……やっぱり新城さんは可愛いね」

「〜〜っっ!」


 あー……きっとバカップルなら、ここで「バカ……」とか呟くシチュエーションなんだろうな……。


 再びキスをした立花さんが時計に目を遣って起き上がる。


「今、4時か……。朝食には早いし……もう一回しよっか? セックス」

「けっ、結構ですっ!」

「はは、そっか。じゃあ目覚めに1杯作ってのんびりしようか」

「賛成です」

「じゃあ、その間に……」

「嫌です!」

「あはははっ」


 またそうやってからかうんだから……。
 なのに嫌じゃない……これも、惚れた弱み──ってヤツなのかもしれないな。

To be continued...

- ナノ -