19現と夢
「何で……」
「え……? やっ!?」
苛立ちを指に込めるように最奥を目指すように突っ込む。
「何で騒がないんですか? 助けを呼べば……!」
そもそも何で俺はこんなにイライラしてるんだ?
せっかく童貞を卒業できるというこの絶好の機会で。
理性の中にある赤城先生への情け?
先生のアソコに口をつけ、乱暴に吸い上げる。
びくびくと激しい痙攣を起こしながら、盛大に喘ぐ赤城先生。
口内にまとわりつく愛液をあえて残して、 液体を口に含んだまま赤城先生に再びキスする。
「ふ、やあぁ……っ、気持ち悪……あぁ……っ」
もう苛立ちとか腹立ちとか関係ない。
ただ、先生を求める。
無意識に先生のアソコに下半身を擦り付け、ピストンする。
それと同時に、口の中の液体が溢れだし、相手の顔に垂れ、それでも辛うじて残るその愛液が俺の舌の動きに合わせてピチャピチャ……クチュクチュと水音を立てる。
「ふぁんっ! あはぁああ……! んふ、だめ……イッ、ちゃ、ああっ──!」
俺もズボンの中で何かドロッとした洩れを感じる。
ヤベー、やっちまった……。
後で処理しとかないと頭の隅で考え、赤城先生の顔を見る。
「はぁ……はぁ……ん……っ」
怠そうに俺を見るその眼は、睨んでいるようにも見えたが、それは確かじゃない。
「あ……凌君……っ」
「え……?」
俺の名前を呼んでいる?
さっきまで俺のことを成瀬と呼んでいたのに……。
「あ、あっ……! 凌君……凌くぅん……!」
ど、どうしたんだ?
まるで夢で続きでもしているように、なんとも幸せそうに名前を呼んでいる。
「あ……凌君……っ」
そう言って、先生は寝息を立てて眠ってしまった。
それも、心地良さそうに……。
つーか、さっきの何だったんだよ。
まさか……寝言?
先生のあんな姿につい呆気に取られ、せっかく処理してもらおうと思ったのに、その気が失せてしまった。
俺は仕方なく先生の服装の乱れを直し、なおかつベッドの状態を戻しておいた。
これだったら誰にも怪しまれないだろう。
「は〜あぁ……何なんだし……」
何で先生の方が満足そうなんだ。
もともとは俺の方が満足するためにヤったのに……。
俺は職員室に寄って「しばらくしたら保健室に行ってあげてください」と言い残し、下校した。
なぜ俺があんなことを言いに来たんだと教師たちに怪しまれただろうが、そんなことは関係ない。
それよりも、自分が満足できなかったことへのショックが大きかった。
自宅に戻った俺が残念そうに着替えたのは言うまでもない。