main DQ8 | ナノ
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目が覚めた。


頭が全然冴えなくて、ずっと夢のなかを彷徨っていたような気がする。
なんだかまだ眠たくて、瞼はずっと閉じたままだった。


そうしたら、だんだんと意識が、また遠くなって、私はそのまま眠ってしまった。






…随分と長い間眠っていた気がする。

夢のなかで誰かが私を呼んでいたような気もする。







起きた時には、そんなことは全て忘れてしまっていたけれど。








月の世界の女の子








二度目の眠りから目が覚めると、目の前には私の知らない男性が立っていた。
私を見つめるアイスブルーの瞳
肩から背中に流れる銀のストレートブロンド
深紅に染まった騎士団服

すごく綺麗な人だ、と思った。男性なのに、少しずるいなぁ、とも思った。




そしてその後ろにはその人の仲間と思しき人達が3人。
皆私を不思議そうに見ている。










_状況が全く理解できなかった。
頭の中が整理できずに、思考回路を必死に巡らせても、これっぽっちもわかることはない。
何が何だか分からない中、一人、考えることができなくて、ただぼうっと前を見ていると、後ろにいる橙色のバンダナをつけた男性が声を掛けてきた。




「君は、どうして此処にいるの?」







そう聞かれた私は、改めて辺りを見回した。
頭上から足元にまで広がる星空。上を向けば月が恍惚と輝き、その光に照らされてぽつんと一つまるでミニチュアのような小屋が立っていて、そこに私たちはいた。





この景色に見覚えがあるか、と言われれば、確実にないと答えられる自信がある。







「…どうして…だろう……」







ぽつりと呟いてからまた、私は記憶を必死にたどってみる。
しかし思い出せるものは何一つ見つからなかった。





「…もしかして、記憶がないの?」








今度は橙色のバンダナをつけている人の隣にいた、茶色い髪を高く二つに結った女の人が問いかけたので、私はゆっくりと頷いた。







「私はリアンって言います。だけど、他に何にも覚えてなくて…。なんで此処に寝ていたのかとか、何処に住んでいるのかとか、全然覚えてなくて…。」

それだけ言うと、私はまた、記憶を掘り出そうとした。けれど




あれ、

お父さんやお母さんはどんな人だったっけ?
私ってどこの生まれでどこで育っていたのだろう。


必死に記憶を辿ろうとしても見えてくるのは暗闇ばかりで何も思い出せない。





それから暫しの沈黙が流れて、次は私の目の前にいた赤い騎士団服の男性が口を開いた。




「記憶がないってことは、行く宛もないんだろ?」



私は素直に頷く。自分が何処から来たのかさえ分からないのに、行く宛なんてあるはずもない。ましてや知り合いも親戚もいるかどうか分からないのだ。




「じゃあ、とりあえず、此処を出るまで俺達と一緒にいたらどうだ?」




「…え…いいの?」




いきなりの提案にここにいる皆の顔が僅かに上がる。こんな身元も何も分からない私なんかが皆に付いて行ってもいいのだろうか





「僕は全然構わないけど…二人は?」




橙色のバンダナの男性がツインテールの女性と__いかにも山賊じみた格好をした男性(中年!?)の人を見やると、


「もちろん構わないわよ。やっと女の子の話し相手ができて嬉しいわ。」

「こんなお嬢ちゃん放っておけないでげすからね。」



どうやらふたりとも賛成してくれたみたい。否定されなかったことにひとまずホッと胸を撫で下ろす。

記憶もなくて行く宛もない私にとっては、この上なく嬉しいことだった。






「それじゃあ、今日から宜しくね。僕はエイトっていうんだ。」



まず最初に自己紹介してくれたのは、橙色のバンダナのエイト。
青いシャツに黄色のジャケットを羽織り、そのポケットにはトーポという名前らしいネズミのような動物が顔を出している。



「私はゼシカよ。男だらけでむさ苦しかったのよねー、これから沢山お喋りしましょうね!」


「リアンの嬢ちゃんはあっしが守るでがす!あ、あっしはヤンガスって言うでげす。」



それに続いてゼシカ、そしてヤンガスも続き、最後に、



「俺はククールだ。ヤンガスなんかに守って貰わないで、俺が君を守る騎士になるよ。」



なんてことをククールがさらっと言って私の肩をさりげなく抱きよせるから、ヤンガスは「なにー!」とひとりで火花を散らしてるし、ゼシカは「リアンに手を出さないでちょうだい!」と強引にククールから私をひきはがすし、エイトは苦笑しながら見てるだけだし…




かなり個性的なメンバーなのだなぁ、と思った。


まぁ、すごく楽しそうだけどね。










少々話が脱線しつつも軽い自己紹介を終えた私たちは、エイトから一通り今皆がしようとしている事を軽くではあるが教えてもらった。




エイト達は荒野に打ち捨てられている船を蘇らせたいらしい。


そしてここは月の世界といって願い事を持った者の前にしか現れない世界だそうで、(そこで私が眠っている所を見つけたらしい)ここに一人住んでいるイシュマウリさんという月の世界の住人に、エイトたちが持ってきた「月影のハープ」を使ってもらい船を蘇らせて貰うそうだ。



「…とまぁこんなところかな…。詳しいことはまた今度話すよ。」

「わざわざごめんね、ほんとご迷惑をお掛けします…。」

「いいのよ全然!リアンはもう私達の仲間なのよ?……でも、それにしても不思議よね〜、月の世界で眠っていたなんて…私達だってたまたま運が良くてここに来れたっていうのに…」

「…まるで、月の世界の女の子、だな」






「月の世界の女の子……か…」


ククールが言った言葉を何故か反復して口に出してみる。
それでも何で私はこんなところで眠っていたのだろうか。皆の話によると、此処は普通の人が簡単に来れるようなところではないらしいし。





「どうでげすか、なんか思い出しそうでがすかね?」

「うーん…やっぱり何にも思い出せないや…」


いくら思い出そうと試みても、何かが突っかかるような、そんな感じで何も思い出すことが出来ない。
まぁ、この人達に付いて行けばきっと何か思い出すだろうな、と思った。どうしてそう思ったかは分からなかったけど。







とりあえずそんなこんなでひと通りの状況説明をしてもらった私は、建物の中に入ってみようよ、と提案してみた。
目が覚めた時に私が眠っていた場所でもあったし、中にいる人が私のことを知っているかもしれない、という期待もあって、早く中に入りたくって、皆より一番最初に真っ先に建物のドアノブに手をかけた私は、皆の了承したという顔を見、後早速ドアを開けた。









__まだまだ私の旅は始まったばかりである…。














初めてこんなダメダメ小説を読んで下さった方初めまして。
そして前作(書きなおされた駄文)を読んでくださっていた方、本当に…すいませんんんんんんんんんんんん!
前まで書いていたのがどうしても許せなく…。再度、一話から書き直しですorz
前作はなんだかリアンちゃんのキャラも暴走してしまったので、もうちょーーっと抑えていきたいとおもいます。
基本的なことは変えないつもりですが、今回はあのヘチマウリさん(イシュウマリさんですww)が住んでいらっしゃる月の世界でリアンちゃんが眠っていることにしました。
誤字脱字などがあるかもしれませんが、どうぞ気長に付き合ってくださいませー(・∀・)
(2012.6.27)