ロング | ナノ



Act.3 *赤髪と金髪*





『あっ////!???』



あたしは自分が裸だった事を思い出し、急いでシーツで体を隠した。



「ククク。捕って喰ったりしねェから安心しろよ???」

『……。』

「まぁ、お前があの湖にいた理由にもよるがな。」



赤髪の美少年はあたしを見てニヤリと笑った。



『…あれ???』



あたしは彼等をマヂマヂと見てフリーズした。



あり得ない…

本日、何度目だろう???

でもでも…、


赤髪にあの綺麗な顔…

金髪のちょん髷にあの独特な口調…

そして、彼等の着てる黒いマントに赤い雲の模様…

間違いない。

彼等はあたしの大好きな漫画【NARUTO】の…



『サソリにデイダラ///???』

「「!!???」」



サソリやデイダラがいるって事は…

どう考えてもNARUTOの世界だよね!???

もしかして、俗に言うトリップってやつ!???

大好きな暁のメンバーに会えるなんて…めっちゃ嬉しい////!!!


頬を赤く染め暴走気味のリクに、彼等は鋭い視線を向けた。



サソリ「おい、何でオレ達の名を知ってんだ???」

『え???』

デイダラ「お前、木ノ葉のスパイか???うん???」

『ち、違います!!!』



リクは必死に首をふって否定した。



サソリ「あんな人気のない、夜の湖に女1人なんて可笑しいと思ったぜ。」

デイダラ「捕獲しといて良かったな、うん。」

『……捕獲???』



もしかして…、

もしかしなくても…、

助けられた訳じゃなくて、スパイの容疑で捕まってる感じ…???



デイダラ「何処の里の奴だ???うん???」

『里と言うか…、日本???もっと細かく言えば東京???』

デイダラ「ニホン???トウキョー???うん!???」



デイダラは首を傾げ、サソリの方を向いた。



デイダラ「旦那、聞いた事あるか???」

サソリ「ねェな。てめェ、嘘つくなんて良い度胸だな???」

『嘘なんて、ついてないってば!!!日本を知らないとかあり得な…あっっ!???』



リクはココで気が付いた。NARUTOの世界に日本なんて国が無い事に…。


いきなり黙りこむリクにサソリ達は更に鋭い視線を向けた。



サソリ「次、正直に言わねェと殺すからな???」



その言葉に背中にヒヤリと嫌な汗が伝った。



デイダラ「何でオレ達の名前を知ってたんだ???うん???」

『し、知ってたのは漫画を熟読してたから…。』

デイダラ「漫画とオレ達と何の関係があるんだよ???うん???」

『…あなた達が漫画のキャラだから。』

デイダラ「お前、何言ってんだ???」

サソリ「この世界が漫画の中みてェな口振りだな…。ふざけんなよ???」

『ふざけてません。…あなた達はあたしの世界では漫画のキャラなんです。』

デイダラ「漫画のキャラかよ…。」

サソリ「あぁ!???てめェ、殺されてェのか???」



サソリの殺気に思わず涙目になるリク。



『ほ、本当だってば!!!』

デイダラ「作り話で乗り切れると思ってるのか???うん???」

『違うって言ってるじゃないですか!!!』

サソリ「じゃあ、何だ???」

『…信じて貰えないかもしれないけど。あたしは本当にこの世界の人じゃないんです!!!』

デイダラ「…うん???」

サソリ「てめェ、マヂで殺されたいみてェだな。」

『……。』



リクは2人の鋭い視線に負けじと見つめ返した。



『あたしは本当に嘘をついていません!!!どうしたら信じてもらえますか???』



サソリはリクの目をジッと見つめた。


曇りの無い真剣な瞳。

多分、この女は嘘をついていないだろう。

だが、どう考えても非現実的過ぎる内容。

この世界が漫画の中だなんて誰が信じるんだ???


隣にいるデイダラに視線を向けると複雑そうな顔をして、女を見ていた。

こいつもオレと同じ様な事を考えているんだろう。



デイダラ「…おい。」

『は、はい???』

デイダラ「オレ達が漫画になってるって言ったよな???」

『はい。』

デイダラ「なら、オレ達しか知らない事を言ってみろよ???うん???」

『…う〜ん。じゃあ、暁のメンバーの名前を全員言えます。』

サソリ「言ってみろ。」

『はい!!!暁のリーダーがペインで、あとは小南、ゼツ、イタチ、鬼鮫、飛段、角都…。あとはあなた達2人を合わせた計9人。』



メンバーの名前なんて、知ってるのは暁の奴だけだ。

それに、木ノ葉がこんな情報を掴んでいるはずもない…。



デイダラ「……。」

サソリ「…分かった。」

『え???』

サソリ「お前が異世界から来た事、認めてやるよ…。」

『本当!???』

デイダラ「信じ難いけど、仕方ないよな。…うん。」

『良かった…。』



リクがホッと胸を撫で下ろしたのも束の間…



サソリ「お前はこの世界の情報通な訳だな…???」

『え???』

サソリ「暁の情報は勿論、他の里の忍の情報も握ってる訳だ。」

『…あたし、他の人に暁の事言ったりしないよ???』

デイダラ「口なら何とでも言えるからな???うん。」

『…あたしを殺すの???』



その言葉にサソリは喉の奥で笑った。



サソリ「ククク。殺しはねェよ。」

デイダラ「逃がしもしないけどな???」

『…えっと???』

サソリ「お前には暁の一員になってもらう。」



暫しの沈黙。



『……はいぃぃぃっっ!????』



リクの声が部屋の中に響き渡った。





2011.3/20






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