Stage2「教師と生徒」


生徒「起立ー、礼!」

ガタガタとクラスメイトたちが席を立つ。

友達「楓子ーもう帰れる?」
楓子「あ、私、園芸部の集まりとかあって…」
友達「じゃあまた連絡するー!」
楓子「うん、私も」

友達と話しながら、教室を出て行く鴻上先生を横目で追う。


(どうしよう……受け取れないって言ってたけど…やっぱり渡したいし、気持ちも伝えたい…!)


先生を追い、慌てて教室を出た。







廊下の先に、先生の後姿を見つける。


(いた…先生……!)


楓子「あ…」


けれど先生のまわりには、学年でも派手で大人っぽい女子たちが群がっていた。
思わず距離を取って足を止める。


女子1「せんせー、誕生日なにするの?」
女子2「彼女とお祝いするのー?」
大和「彼女なんていねーよ」
女子2「ほんとに!? じゃー私たちとご飯食べようよ!」
大和「却下」
女子3「なんでー?」
大和「あのなあ、お前らは生徒でオレは教員だろ。条例やらなんやらで、ちょっとのことでも問題になんだよ」


(……そうなんだ)


先生の言葉が、私に現実を突きつける。



小野寺「じゃあ、生徒じゃなくなれば、いいってこと?」
大和「え?」


派手な女の子たちの中でも、いちばん人気のある小野寺さんが、先生の腕に腕を絡める。


(あ…)


小野寺「私が卒業して、先生の生徒じゃなくなる時がきたら、彼女にしてくれる?」
大和「……そういう問題でもないんだよ」
小野寺「どうして? 私、先生の彼女になれるまで待ってていい?」
大和「とりあえずこの腕、離せって」


やんわりと小野寺さんの腕をほどこうとして、先生が軽く後ろを振り返る。
と、先生の目が、離れたところにいる私を捉えた。


大和「あ……」
楓子「…!」


真っすぐ合ってしまった視線にいたたまれなくなる。
踵を返し、走ってその場を離れた。




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