勇太「クニさんの話、よくわかんなかったね〜」
楓子「う〜ん…とにかく夏を満喫しようってことなんじゃないかな?」


終業式を終え、教室へと戻りながら、勇太くんと夏休みについて話す。


勇太「俺は夏休みも野球部の練習で学校来ることになるなー」
楓子「私も7月中は、園芸部の用事で学校来るよ」
勇太「そうなの? どこか行ったりしないの?」
楓子「お盆に福岡のおばあちゃんちに家族で行くよ。勇太くんにもお土産買ってくるね!」
勇太「福岡か〜! 福岡のお土産って何が有名?」
楓子「うーん、なんだろ。お餅みたいのとか、おまんじゅうみたいのとか……」

大和「あと、お面みたいな煎餅も有名だろ」

楓子「えっ?」
勇太「あ、鴻上先生〜」


聞こえてきた声に振り返ると、後ろから歩いてきた鴻上先生が私たちに追いついたところだった。


大和「児玉んちは福岡がルーツなのか」
楓子「…はい! お父さんもお母さんも福岡出身なんです。先生は福岡行ったことある?」
大和「ないんだよなー。食べ物が美味しいって聞くから行ってみたいんだけど」
楓子「そしたら、先生にもお土産買って来てあげる」
大和「おっ、児玉は優しいなー」


(嬉しい……先生から話しかけてくれた…!)


勇太「…ちょっとせんせー?」


頬っぺたを両手で包みながらニヤける口元を押さえていると、横から勇太くんがひょこっと顔をのぞかせる。


勇太「俺もいるんですけどー。楓子ちゃんが可愛いからって、シカトしないでくれる?」


(か、可愛いって…!)


大和「おー、可愛いよ、児玉は」


(えっ!?)


大和「うるさいクソガキの梶間と比べたらなあ〜?」
勇太「きゃーひどい!  鴻上先生えこひいきー!」


(な、なんだ…そういう流れか…)


大和「だいたい、梶間とは教室でも野球部でも顔合わせてばっかで、いい加減飽きたよ、お前のギャグ」
勇太「そんなこと言って〜。夏休みも部活で毎日いっしょだね! またジュースおごってねー!」
大和「お前ら、一度味をしめると、無尽蔵にねだってくるからな……」
楓子「あはは、先生たいへんだね」


先生と勇太くんのやり取りを聞きながら笑う。


(やっばり夏休み、さみしいな…こんなふうに先生と会えなくなっちゃう)


隣を歩く先生の横顔を、こっそりと見上げる。


(だから、今日は大切な日……だって今日は……)



[ 2/3 ]


[ << prev ] [ next >> ]






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -