Epilogue


大和「……じゃあ、気をつけて帰れよ」
楓子「……はい」

階段の踊り場で児玉に向き直る。
返事をした後、児玉は無意識なのか、頬を赤く染めたまま額に手を当てた。


(…あの後、会話という会話もしないで屋上から降りてきたけど……)


大和「……あのさ」
楓子「は、はい……」
大和「……いや、えっと…、園芸部の活動、何曜日だ?」
楓子「……あっ、決めてない…!」
大和「なんだよ、柴咲と分担したんじゃないのか?」
楓子「レンくん、今日おなか空かせて倒れちゃって…」
大和「またかよ、相変わらずだな」
楓子「そうなんです」


顔を見合わせて笑う。
少しだけぎこちなさが緩んだ。


大和「オレ、だいたい学校来てるから、何かあったら顔出して」
楓子「……何もなくても、顔出していいですか?」
大和「…いいよ」
楓子「ジュース、おごってくれますか?」
大和「はいはい、わかったよ」


呆れたように返事をすると、やっと児玉に、いつもの笑顔が戻った。


楓子「…じゃあ、帰ります」
大和「おお、気をつけてな」


昇降口に向かう後姿にもう一度声をかける。


大和「児玉」
楓子「…はい!」
大和「プレゼント、ありがと」


手に持ったプレゼントの包みを掲げると、児玉は黙ったままはにかんで、こくんと頷いた。



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