ShootingStar-07
瞼が焼けるように熱かった。
薄目を開けると目の前は真っ赤で睫毛を透かして目に入ってくる。
最初は朝かと思った。
だけど日差しの角度にぎこちなさを感じて、ゆっくりと起き上がってみる。
最初は気付かなかったがどうも天井が高い気がする。
夕日で真赤なので自信はないがカーテンも何だか白っぽい様な・・・
手を伸ばしてカーテンを開けてみた。
「あら、やぁっと起きたんですね。気分はどう?」
マダムポンフリーが一つ向こうのベッドのシーツを整えていた。
「あ、はい大丈夫です・・・えっと・・・」
なまえはまだ起きたばかりで頭が働かない。
マダムポンフリーは少し呆れたような表情をした。
「本当は朝食も昼食も持ってきていたんですけどね、あなたが全然起きないから、しもべ妖精が片付けてしまったわ」
なまえはマダムポンフリーの話を聞きながら、一生懸命理解しようとした。
「もうすぐ夕食を持ってくる頃でしょう。私も大広間まで食事をとりに行ってきます」
「あ、はい。ありがとうございました」
マダムポンフリーは静かに出て行った。
そういえば朝食をとっていなかった。
すごく気分が悪くてそれでも大広間まで行こうとしたが・・・
途中から思い出せない。
今自分が医務室にいるということは、気を失った自分を誰かが運んできてくれたのだろうか?
医務室のドアがバタンと開いた。
しもべ妖精が入ってきたのかと思ったがそこに立っていたのは。
「エミリア!」
エミリアは両手に盆を持ってはぁはぁと息遣いが荒かった。
走ってきたみたいだ。
「よかった!なまえ、もう大丈夫?!」
盆をサイドテーブルに置いてベッドの脇の椅子に座った。
「すぐそこでマダムポンフリーに会ったの。なまえが起きたって聞いて・・・」
「うん、今はすごく気分がいいわ。私一日中寝てたみたいね」
なまえはくすくす笑った。
「あの・・・それで・・・」
エミリアは急にうつむいてしまった。
「どうかした?」
顔を上げたかと思うと目に涙をためている。
「ゴメンねなまえあなたの気持ちも考えないで、バカみたいにシリウス君のことばかり話して・・・夕食の時だって、なまえは嫌そうだったのに、勝手に私が・・・」
「そんなことエミリアは気にしなくていいよ」
「だって・・・」
なまえはエミリアの肩にポンと手を置いて、にっこり笑ってみせた。
エミリアもそれを見ると、ぎこちなく笑い返してくれる。
「あ・・・そういえば私、なんで医務室にいるの?」
エミリアはきょとんとした顔でなまえを見た。
「え?何も覚えてないの?」
「うん」
「私もよく知らないんだけど・・・」
エミリアは少し考え込んでから口を開いた。
「シリウスが運んでくれたみたいなの」
「え?」
なまえはビックリして目を丸くした。
それからシーツに目を落として、考え込む・・・
沈黙が流れた。
「本当に全然覚えてないの?」
エミリアが顔を覗き込んでくる。
「うん。でも・・・声が・・・」
「声?」
「・・・でも、夢かも・・・」
「フフ、何それ?」
エミリアがくすくす笑った。
なまえもつられて笑う。
「あ、夕食持ってきたんだった!」
エミリアはくるっと体の向きを変えて、サイドテーブルから盆をおろした。
なまえはベッド用のテーブルを引っ張り出す。
「ちゃんと二人分持ってきたのよ」
エミリアが自慢げに盆をテーブルの上に置いた。
「うわぁ、おいしそう!ありがとう、もうおなかへっちゃって・・・」
なまえが苦笑いをしておなかをさすった。
「だって丸一日何も食べてないんだから」
「私の分も食べないでよ?」
エミリアがいたずらっぽくなまえを見た。
「私も昼食が全然喉を通らなかったんだもの」
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