ドラゴンに渡されるがまま仕方なく着てはみたものの、鏡もないので正直彼の前に出にくい。

彼の作った服は実際見た分、とてもシンプルで可愛らしいものであったものの、着た後になると似合うか判らない。

ていうか、どこで知識を仕入れてきたんだ、ドラゴンは…



「終わったのか?」

「あ…うん…」



扉越しのドラゴンの声に、僕はつい反射的に返事をしてしまった。



「じゃあ開けるぞ?」

「いや!ちょっと待って!」



慌てて訂正して、中に入ろうとしたドラゴンを制止。 うう…似合っているのかさえ判らないのに…

………ここまで来たら自棄だ…。



ゆっくりゆっくり、僕から扉を開く。それを察知したかのようにドラゴンが動くのがわかった。
凄い緊張する…。



「似合って…る?」

「………。」



恐る恐るドラゴンに向き合って聞いてみるけど、返答は返ってこない。

当のドラゴンはポカンっとした顔で

うう…、やっぱり似合ってないのかな…、ドラゴンが作ってくれたのは嬉しいけど、さ…



「やっぱり着替「似合ってる。」…え?」



直ぐに着替えようと体を動かそうとした瞬間、聞こえたドラゴンの言葉に今度は僕がポカンとした



「凄く似合ってる…」



二度そう言われて、やっとドラゴンの顔を見ればとても柔らかな笑みをしていて



「やはり俺の言った通りだったな。」

「そう、かな…?」

「ああ。」



改めてそう言われたら言われたで凄い照れる。はじめはじっと彼を見れたのに今では直視できない。



「どうせならそれで外、出てみるか?」

「え!!?そ、それはちょっと…」



流石に外に出るなんて、むむむ、無理だよ!!!今までそんなことしなかったし…!


「達也、自信を持て」



ぐるぐる、思考が回って口ごもる中、不意にドラゴンに囁かれる。



『一緒に行こう?』



「…っ」



そう囁かれて、にこり、と笑みのまま僕に手を差し出すドラゴン。



「…少しの間だけだよ?」

「ああ、わかった」



本当、ドラゴンって畳み掛けるのが上手いと思う。あんな風に言われたら誰だって嫌だ、なんて言えないよ…



「でも…」



僕はその差し出された手に自分の手を添えて、ちょっぴり照れ笑いが溢れる


たまにはこういうの、悪くない…かも。





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