最近、学校では女子が騒がしい。なんか恋愛診断?とか、占いとかが女子の中では流行ってるみたい。

そんなことで毎日キャッキャッと笑みを浮かべるのだから、女の子って単純だな、とか思っちまったりする



「私、後ちょっとしたら運命の人に出会えるって占いに出たんだー!」

「本当?…いいなぁ」



そんな女子の会話が耳に入り
『くっだらね』っと内心呟いた後
とある人物が俺の脳裏に過る



「(運命、かー…)」



今日もカレーパン食べに行くついでにアイツに聞いてみようかな、っと勝太は窓から空を仰いだ





「なあドラゴン」

「なんだ?」

「お前は運命って、信じる?」





学校が終わって、当たり前の日課になった森への寄り道。

ドラゴンの用意してくれたカレーパンを平らげ、お皿を洗う彼の背を見つめながら俺はふと口を開く



「、いきなりなんだ」

「なんとなーく。」

「…俺は『運命は自分で切り開くもの』だと思っているが」



一瞬、動きを止めて少しの間の後に返ってきた言葉に、俺は思わずドラゴンの背を凝視した



ドラゴンはドラゴンなりに
そう考えてんのか…。



「あっそ…」



ドラゴンの言葉が何だか気に食わなくて、視線をドラゴンから外し、俺はテーブルに突っ伏した。


切り開くもの、ね…。
確かにそりゃそうかも知れねぇけどさ。
俺が聞きたかったのは
そういうことじゃなくて…

…ん?、何を期待してたんだ俺?



「切札勝太」

「ん?…おっ」



お皿を洗い終わったのだろう、
不意に上から掛かるドラゴンの声。
それに反射的に顔上げれば
ポスンッとでも言うように、ドラゴンに俺は撫でられる。

急なことで直ぐ様ドラゴンを見やれば、これがまた柔らかい笑みを溢していて



「俺は、お前に出会えたのが運命で良かった。」

「んなっ!?いきなり何言って…」

「本当のことだぞ?」



そんな笑みの中で溢れたドラゴンのいきなりの台詞に、何故か俺の体温は急上昇

途端にドラゴンのことが見れなくなって視線逸らすが、彼の撫でる動作は止まらない



「う……。」



彼が一回一回、撫でていく度
なんでだろう、俺の苛立ちは消えていく。
さっきまでなんかモヤモヤしてたのに。ドラゴンの一言で俺の心は上機嫌に変わってて

多分、俺が求めてた答えだったからなのかな…



「…ドラゴン」

「ん?」

「俺も、ドラゴンに出会えたのが
運命で良かったよ…」



じゃなきゃきっと
こんな気持ちは持たなかっただろうな、

なんというか、カレーパンで例えるなら甘口に蜂蜜をかけたような
そんくらい甘い感覚



「…明日のカレーパンは
甘口にしてもらっていい?」

「ああ。勿論」



その感覚を味わえるのが運命なら
俺はきっと幸せ者だな





俺らの運命は相当甘い
互いに会うだけに幸せが満ちるのだから





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