「ドラゴンってカレーパン以外も作れるんだね」

「当たり前だ。じゃないと姫に言われてしまう。」


ドラゴンとの向かい合っての食事
「塾帰りに寄ってこい」って言われたから何だ、と思ったけどこういうことだったみたい。

にしても料理美味しいなぁ…。
これならいいお嫁さんに…
あ、夫?になれるね。


「達也」


もぐもぐ、肉じゃがの味を
堪能しながら食事を進めていると
ふと呼ばれて顔を上げる。


「ん」


すると目の前にニンジンを僕に差し出すドラゴンが。
えっ、と…これって…


「……。」

「……。」


少しの沈黙、なにも言わずにニンジンを僕の口元に差し出したままのドラゴンがジッと見つめてくる。


「…あー…」


それに気圧されて僕はゆっくり、
そのニンジンを口に入れた


「……。」


口に入れれば、途端ドラゴンの表情が一気に華やかになる。
それがこっちにとっては更に恥ずかしさを煽らせてるとも知らずに


「美味いか?」

「…ドラゴンのせいで判らなくなった」

「そうか」


ドラゴンは僕の反応が判っているのか、僕の返事にまた笑み。


「…もしかして、これがしたいから今日呼んだわけじゃないよね?」

「さあ、どうだろうな」


含み笑いのまま僕を見て、
ドラゴンの方は至極楽しそう。

対照的に僕の体は熱いよ…。



「確信犯め…」





確信犯の料理は美味
美味しいからこそ尚更くやしい







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