もう俺らの戦いも佳境
何度もボロボロになった彼を
見守っていただろうか


「達也ー」

「なに…?」


俺が愛しい君の名を呼べば
達也はちょっと嫌そうな顔で

ま、それが照れ隠しだって判ってるさ


「俺さ、達也に出会えて良かった」

「え…」


少し怪訝な顔つきが緩み
途端に、寂しそうに声を漏らした

ああ、俺にそういう顔をしてくれるなんて、嬉しいのに


「急にどうしたの?マトリクス」

「んー?別に?」


その顔が見てられなくて
釣られて柄にもなく寂しい顔になりたくなくて、ぎゅうっと後ろから達也を抱き締めた


達也の体温が、温もりが
とても暖かくて

正直涙が出そうなくらいに
君から離れたくないと、叫びたいけど、ぐっとそれを奥に押しやる


「大好きだよ、達也」



今まで俺を使ってくれた誰よりも
何よりも俺に愛を教えてくれた
彼の小さな体に

何度も何度も
強く強く抱き締めて
彼の存在を噛み締めて


もうさよならが近い、この残り少ない期間で君はもう俺を使ってはくれないけれど、それでも俺は君が朽ちてもずっと、愛を誓うよ



『ありがとう、愛している』






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