再会

あの盲目の女の子に出逢ってから1週間後。
また逢えないかな、と何時も思っていた。
街中を歩いていても、バスに乗っても、自然とあの子を探していた。
そして、再会は突然だった。

「ふーじ、今年もよろしくにゃー!」

元気に朝の挨拶をした彼は、菊丸英二。
3年間連続で同じクラス、幼稚園の頃からの親友だ。
今からこの体育館で始業式が行われる。
僕もついに最高学年の3年生だ。
クラス別に指定されている席に、英二と隣同士で座った。
僕が英二の隣で普段通りにこにこしていると、英二もにこにこし始めた。

「英二、如何したんだい?」

「今日始業式の後に、新1年生も体育館に入って来るじゃん?」

「それが如何かした?」

2年生と3年生は此処で新1年生と初対面する。
英二は猫のように独特の笑い方をした。

「愛ちゃんがいるから、手塚が何時もよりご機嫌だねー。」

英二は終始楽しそうに、手塚を指差した。
僕の目には何時も通りの手塚に見えるけど。
妹の名前は不二愛、15歳。
全日本テニス選手権に出場し、その時の年齢に合わせた部門で6歳から連続優勝。
テニス界で知らない者はいない程の実力者だ。
僕や手塚の練習相手には持ってこいの人材だ。
愛は全国のテニス強豪校から沢山声がかかっていたけど、青学に入学した。
今年から愛も青学高等部の生徒の一員になるんだ。

愛と手塚が交際を始めてから、もう3年が経つ。
愛が青学中等部の1年生、手塚が3年生の頃からだ。
明るい愛と、物静かな手塚。
対照的なカップルだと思っていたけど、交際当初から仲良しの二人を見ていたら、心配なんて要らなかった。
愛は手塚が静かに本を読んでいる隣でも、ゲームをして楽しめる。
お互いにテニスが得意で、ラリーをするのが好きだ。
愛は手塚がお堅くなり過ぎるのを優しく解す。
手塚は繊細で抱え込み易い愛に大人の包容力で手を差し伸べる。
二人はお互いの短所を長所で補う理想的な関係だ。
誰もが羨む美男美女で、お似合いだと言われている。
テニス部公認の仲で、英二も愛をよく知っている。

暫く英二とあれこれ話していると、始業式が始まった。
校長先生の長話が終わり、ついに1年生の入場時間になった。

「1年生の入場です。

皆さん、拍手でお迎え下さい。」

司会の先生がマイクを通してそう言った。
2、3年生の拍手が始まると同時に、1年生が2列体制でクラス別に体育館へと入場してきた。

「ひゅー!初々しーい!」

英二は首を伸ばして1年生を見ながら、陽気にそう言った。
僕は拍手しながら、愛が入場して来るのを待った。
すると、ついに愛の姿が見えた。
あれ?
誰かと手を繋いでいる。
愛が手を繋いでいるあの子は、確か――





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