23-1

俺の疑問は確信に変わった。
その筈だったのに――

俺とフレッドは珍しく図書館で羊皮紙と向き合っていた。
この課題を終わらせないと、スネイプから恐ろしい特別授業を受けさせられるのだ。
俺たちの向かい側の席には、ガリ勉ハーマイオニーがいる。
山積みの参考書には驚かされるばかりだ。
閉館の時間になると、三人で図書館を出た。
廊下を歩きながら、俺はだらしない口調で言った。

「あーあ、終わらなかった」
「俺はもう諦めるぜ」
「マジかよ」
「二人共、不真面目よ!」

ハーマイオニーにぴしゃりと怒られても、全然響かない。
俺は溜息をつきそうになった時、前から歩いてきた人物に目を疑った。
ハーマイオニーが笑顔で話しかけた。

「あら、アフロディーテ」
「ハーマイオニー」

アフロディーテは笑顔で此方まで歩いてきた。
俺はまるで失神呪文でもかけられたような衝撃を感じた。
アフロディーテの腕の中に、あの猫がいたからだ。
何故、アフロディーテとあの猫が一緒にいるんだ?
アッシュブロンドの艶髪と体毛が全く同じ色だし、妖精の鱗粉でも舞い落ちそうに綺麗なのも同じだ。
フレッドも驚いている筈だけど、笑顔を取り繕っていた。

「やあ、アフロディーテ。
今夜は猫ちゃんが一緒なんだな」
「偶然この子を見つけて、初めて抱っこ出来たの」

俺は未だに開いた口が塞がらなかった。
ハーマイオニーはアフロディーテと猫を見比べた。

「やっぱりあなたたちそっくりよ?」
「そうかな?
きっとこの子は珍しい魔法生物なのね」
「ダンブルドア校長の猫とか?
ロックハート先生の猫かもしれないわ!」

二人は女の子同士で笑い合った。
愕然としていた俺は、改めて猫の顔を覗き込んだ。
レイブンクロー色の瞳、美形の顔立ち、ふわふわでアッシュブロンドの毛並み。
あの猫で間違いない。

「ジョージ、大丈夫?
顔色が悪いけど…」
「あ…いや…別に…。」
「早く休んだ方がいいよ」

アフロディーテの心配そうな表情に、俺は余計に動揺した。
気が動転して、混乱する。
フレッドが何かを察したのか、俺の肩を組んだ。

「俺もジョージも課題を終わらせないといけなくてさ。
アフロディーテも暗くなる前に早く寮に戻れよ?」
「ありがとう、フレッド」

フレッドが半ば強引に俺を連れ出した。
ハーマイオニーはアフロディーテと手を振り合って、俺たちの後ろをついて来た。

猫が、アフロディーテじゃなかった。
全て俺の勘違いだったのか。
頭が鈍く痛んで、早くシャワーを浴びたかった。
疑問が確信に変わった筈だったのに、その確信は今再び疑問へと戻った。
何が何だか、訳が分からない。





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