16-2

スリザリンの選手どもが走り去ったグラウンドに、ハリーを抜いたグリフィンドールの選手とアフロディーテが残った。
アフロディーテは俺たちに背中を向けていたけど、肩を落とした。

「やっちゃった…」
「アフロディーテ!」

クイーンスイープ5号を放り投げた俺はアフロディーテに駆け寄り、その肩を掴んだ。
三つ年下のアフロディーテは俺よりも身長が低くて、華奢だった。
アフロディーテは驚いた表情で俺を見上げた。

「あんな事して、危ないだろ!
怪我したかもしれないじゃないか!」
「マルフォイが?」
「違う、君だよ!」

アフロディーテは黙り込み、俯いた。
アッシュブロンドの艶髪がクィディッチ競技場から吹く風に揺れている。
まるで俺が責め立てているようで、申し訳なく思った。

「ごめん、心配したんだ」

抱き締めたくなった。
でも、俺にそんな権利はない。
俺はアフロディーテの肩から手を離した。
アフロディーテがとても優秀な魔女だという事は、ピーブズの一件で簡単に予想がついていた。
それでも、こうしてマルフォイたちを返り討ちにしたアフロディーテを見ると、改めてその腕に驚かされた。
アフロディーテは間違いなく何処かで呪文を習った筈だ。
二人で黙り込んでいると、フレッドが冗談交じりに言った。

「見たか?
マルフォイのビビった顔!」

フレッドたちが面白おかしそうに笑い出した。
マルフォイの怯えた面よりも、アフロディーテの気迫の方が物凄かった。
杖先から弾ける火花が線香花火のように綺麗で、皆が息を呑んでいた。
ピーブズを追い返した時も凄いと思ったけど、今日の方が数倍凄かった。
でも、今目の前にいるのは、上品に立ち尽くす一人の女の子だ。

「なあ、アフロディーテ」

アフロディーテは俺の声でそっと視線を上げた。
何を言われるのか、心配しているような目だった。
俺はアフロディーテの頭に手を置き、あの時と同じように撫でた。

「最高にカッコ良かったぜ」

目を見開いたアフロディーテは、瞬く間に笑顔になった。
途端に皆が駆け寄ってきて、アフロディーテを賞賛した。
俺はまだまだ君に夢中になりそうだ。



2019.8.23




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