トップに君臨

第三学年二学期期末テスト成績優秀者
第1位 不二愛 760点

「凄いよ愛ちゃん!」

テストの成績が貼り出されると、桜乃ちゃんは何時も一緒に見に来る。
あたしは廊下に貼り出された自分の順位に、喜びを通り越して呆然とした。
初めて1位を取った。
これも国光のお陰だ。
今度、何かお礼をしなくちゃ。
呆然としていたら、桜乃ちゃんが心配そうに訊ねた。

「愛ちゃん、大丈夫?」

『だ、だ、大丈夫。』

あたしの目の下には若干の隈がある。
例の意識の件を言葉通りに意識し過ぎて、勉強とゲームで気を紛らわせた結果がこの顔だ。
すると、廊下の向こうから朋ちゃんと越前君がやって来た。
越前君は朋ちゃんに腕を引かれ、あからさまに迷惑そうな顔をしている。

「あ、愛!

今回は何位だったのー?」

他の生徒を掻き分け、朋ちゃんは貼り紙の一番前に顔を出した。
沈黙した後、あたしの両肩をガッと持った。

「すっごいじゃん!

学力推薦で何処の高校でも入れるだけあるわ!」

『あ、ありがと…。』

実は、高校なら学力推薦で何処でも選べた。
それでも青学の高等部を選んだのは、自分の意思だ。
国光と同じ高校がいいのは勿論だけど、お兄ちゃんの話を聞いていると、やっぱり青学に進学したいと思う。
張り出された自分の順位に呆然としていると、越前君がポケットに手を突っ込みながら訊ねた。

「アンタ何時勉強してんの?

寝ながら?」

『寝ながら勉強出来る訳ないでしょ。

飛行機の中とかデートとか――』

しまった、口が滑った。
好奇心旺盛な朋ちゃんが目をギラギラさせた。

「愛ってばデートで勉強してるの!?

それってデートなの!?」

『ち、違っ、ちゃんと勉強した後に遊んでるから!』

勉強は断じてデートじゃない。
周りにいる生徒たちが興味深そうに聞き耳をしているから、あたしはこの場から離れたかった。
何かと気を遣ってくれる越前君が、あたしたちに背を向けた。

「アンタたち、行くよ。」

『行きます!』

朋ちゃんの目がまだギラギラしている。
この後も色々と訊ねられそうだし、今日はテニススクールにパパッと逃げちゃおう。



2018.7.2




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