戦闘

花怜と別れてから八日が過ぎた。
常に物足りなさを感じる日々が続いていた。
夜、花怜が隣にいない。
あの居心地の良さを、もう一度味わいたかった。
一日でも早く、花怜を傍に戻したかった。
花怜が不在の間、私は鉄砕牙を砕いた妖怪の牙を灰刃坊に渡し、剣を打たせた。

その剣を追っていると、気に喰わない匂いと清らかな匂いが同時にあった。
犬夜叉がこの剣の元にいるとは思わなかったし、花怜が犬夜叉の元にいるとも思わなかった。
そして今、花怜は私の目の前にいる。
私は花怜の肩を抱き寄せる腕の力を込め、苛立ちを抑えながら訊ねた。

「何故犬夜叉とつるんでいる?」
『……。』
「花怜。」
『…皆さまとは偶然お逢いして、同行していました。』

花怜の返事が遅れている。
何処かぼんやりとしているようにも見える。

「話は後で聞いてやる。
今は下がっていろ。」
『…はい。』
「花怜、説明しろ!」

犬夜叉の苛立った声がした。
私は花怜を背に庇うように隠した。

「てめえ騙してたのか!」
「騙す…だと?
花怜は私の連れだ。」
『殺生丸さま、争うのはやめてください。』
「…下がっていろ。」

花怜が哀しげに眉尻を下げ、目を伏せた。
そのような表情さえ、犬夜叉に見せたくはない。
刀々斎が慌てた様子で主張した。

「殺生丸っ、闘鬼神に触れてはいかん!
いくら貴様でも、闘鬼神の邪気にあてられたら、灰刃坊同様取り憑かれて――」
「ふっ…。」

私は剣に手を伸ばした。
その柄を掴み、地表から引き抜いた。

「貴様、私を誰だと思っている。」

闘鬼神の邪気は私に負け、消えていった。
犬夜叉どもの表情が驚きに変わった。

「剣も使い手を選ぶという事だ。」

花怜を取り戻した優越感に浸るのも束の間、犬夜叉に言った。

「抜け、犬夜叉。
貴様に確かめたい事がある。」




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