遭遇

殺生丸さま一行と別れた後、村に滞在したのは五日間だった。
村を出ると、殺生丸さまが向かった道を辿った。
使い果した薬草を集めながら、皆を恋しく思った。
独りで道を歩くのは慣れている筈なのに、とても寂しい。
殺生丸さまの顔を思い浮かべながら歩いていると、こんな奥深い山道で人に遭遇した。

「もしや、蒼の巫女さまではないですか?」
「蒼の巫女だあ?」

四人の旅人だった。
風変わりな装束の少女、錫杖を持つ法師さま、大きな武器を担ぐ着物の少女、そして赤い装束の少年。
殺生丸さまと同じ銀髪の少年は、如何やら半妖だ。
それに、小さな妖怪も二匹いる。
私は快く挨拶した。

『こんにちは。』

すると、私の目の前に法師さまが電光石火の如く現れた。
更に片膝をつき、私の片手を握った。

「なんとお美しい…。
どうか私の子を産んでく――」

法師さまの台詞は着物の少女が持っていた骨の武器によって遮られた。
後頭部を殴られ、とても痛そうだ。
私が目を瞬かせていると、風変わりな装束の少女が話しかけて来た。

「初めまして、かごめです。」
『初めまして。
花怜と申します。』
「こっちが犬夜叉で、弥勒さまと珊瑚ちゃん。
七宝ちゃんと雲母も。」

犬夜叉さま――その名を邪見さまから聞いた。
殺生丸さまの腹違いの弟で、半妖だという。
このような道中で遭遇するとは。
皆が挨拶を返してくれる中、一人だけ不思議そうな表情をしていたのが犬夜叉さまだった。
鼻を何度か動かし、私の匂いを嗅いでいるようだった。

「お前、人間か?」
『?』
「なんつーか…変わった匂いがする。」
「犬夜叉、失礼でしょ!」

殺生丸さまには雑味がない≠ニ表現された私の匂い。
犬夜叉さまも殺生丸さまと同じく鼻が効くようだ。

『人間らしくないとはよく言われます。』
「ごめんね、花怜さん。」
『いえ。』

かごめさまが謝罪した隣で、犬夜叉さまはやはり釈然としない表情だ。
立ち止まっていた私たちは、自然と歩き始めた。
かごめさまが提案した。

「花怜さんもこっちなの?
良かったらあたしたちと一緒に行かない?」
『はい、是非。』

殺生丸さまに戻って来いと言われたとはいえ、合流するには時間がかかるだろう。
五日分の距離があるのだから。





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