願望

阿吽に凭れて寝ていたあたし――りんは、うーんと伸びをした。
お日さまが昇り始めていて、眩しい。
起きるにはちょっと早かったかな。
隣には邪見さまがいて、花怜さまの羽織をりんと一緒に着ていた。

「うーん、なんじゃ…朝か?」
「まだ朝早いよ。」

殺生丸さまと花怜さまは――?
きょろきょろと周りを見渡すと、二人を見つけた。
あっと声を上げそうになったけど、きちんと飲み込んだ。
でも、隣の邪見さまは駄目だった。

「な、な、な、なんじゃとー!!」

殺生丸さまと花怜さまは木に凭れながらくっつき合っていた。
花怜さまが殺生丸さまの肩に頭を預けている。
よく見たら、二人は手を握り合っていた。
殺生丸さまは起きていたけど、花怜さまはまだ寝ている。
りんはとっても微笑ましくて、にこにこした。
それなのに、邪見さまは気絶しそうな勢いだった。

「せ、殺生丸さま、何を…!」
『…?』

花怜さまがゆっくりと目を開けた。
その瞳は黒の中に少しだけ蒼があって、何時見ても綺麗だと思う。

『…え?』
「花怜!
殺生丸さまから離れんかー!」
「何言ってるの邪見さま!
殺生丸さま嫌がってないのに!」

花怜さまは殺生丸さまにくっついていた事に気付いたみたいだ。
あっという間に真っ赤になって、慌てて殺生丸さまから離れた。
繋いでいた手も解けちゃった。

『っ、申し訳ありませんでした…!』
「花怜、わしが許さんぞ!」
「黙れ、邪見。」

邪見さまは青ざめると、ガックリとした。
もしかしたら、殺生丸さまも花怜さまを引き留めようとしてくれたかもしれない。
花怜さまはとても凄い巫女さまだ。
病気に苦しんでいる人たちを助ける力がある。
その人たちを助けようと、旅をしている。

でもね、花怜さま。
りんは花怜さまと一緒にいたい。
殺生丸さまだって、同じように思ってくれてるよね?
行かないで、花怜さま――



2018.4.3




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