デイダラの焼きもち

部屋に到着した瞬間、デイダラは黒装束の襟元を開き、雅の唇を強引に奪った。
雅の背中を壁に押し付け、その顎を手で固定した。
雅はデイダラの胸板に置いた手を掴まれ、指を絡めて強く握られた。

「ん、デイ…っどうし、んっ!」

入り込んできた舌が雅の口内を舐め回し、雅の舌がきつく吸われた。
雅はゾクリと粟立つ身体を小さく震わせたが、デイダラに懸命に応えた。

「っ、はぁ…はぁ…」
「バカだな…うん。
何しやがるんだって嫌がらねーのかよ」
「デイダラが求めてくれるなら…構いません」
「煽るんじゃねーよ…」

デイダラは再び雅の唇を奪い、貪るように口付けた。
掴んでいた雅の手を離し、白い頬に滑らせた。
粘着質な水音と二人の荒い息遣いが、和室に響いて聞こえた。
雅はデイダラの背中に両腕を回し、黒装束を弱々しく握った。

「ふ…っん、はぁ…」
「っは…雅…」

今朝も長く口付け合ったが、今回もまた長かった。
お互いに満足するまで、ひたすら唇を求め合った。
先に唇を離したのはデイダラだった。
雅が息を荒げながら壁に凭れかかるのを見て、一気に罪悪感が込み上げた。

「すまねえ……座るか」

雅は頬を赤らめながら頷いた。
口付けで蕩けた身体をデイダラに支えられながら、テーブル横の座布団に向かい合って腰を下ろした。

「大丈夫か?うん?」
「大丈夫です」

口付けの余韻が残る雅は髪を耳にかけ、デイダラに微笑んだ。
その仕草が上品且つ妖艶で、デイダラは息を呑んだ。
雅のすぐ傍に移動し、その身体を抱き締めた。

「雅がモテてるのを見たら、何つーか…」
「私がモテる…?」
「別に角都の旦那は構わねえけどよ…。
イタチだとか飛段に触られてるお前を見たら…ダセー話、妬いた」

イタチとは額を触れ合わせ、飛段にはほっぺにチューされていた。
思い出したデイダラは自分が情けなくなってきた。

「そしたら…うん、襲いたくなった」
「なら…襲いますか?」
「は?」

雅は唖然とするデイダラと真っ直ぐに視線を合わせた。
左目のスコープの端からそっと指を入れ、それを外した。
デイダラは瞑っていた左目をゆっくりと開け、両目で直に雅を見つめた。

「あのさ、それって誘ってる…よな?」
「誘っているというか…デイダラがしたそうだから…」
「なら遠慮なく喰うぞ!うん!」

強引に口付けたのを反省していたデイダラだが、その目に活気が戻った。
雅を畳の上にあっという間に押し倒し、自分は黒装束をぽいっと脱ぎ捨てた。

「っ、眠いんじゃなかったんですか…?」
「目なんか覚めたに決まってんだろ」

デイダラは更に額当てと粘土袋も外し、同じくぽいっと投げた。
雅はみるみるうちに緊張してきた。

「昼間っから悪りーな、うん」
「あの、電気を消してください!
それとカーテンも閉めてください!」
「嫌だって言ったら?」

デイダラが口角を怪しく上げた。
雅は明るい下で抱かれるなんて、恥ずかしくて無理だと思った。
掌に小さな円形の氷を作り、壁のスイッチに向かって素早く投げた。
それは見事に命中し、カチッという音と共に電気が消えた。

「便利な能力だな、うん」
「カーテンは吹雪で閉めますよ、寒いですよ?」
「そりゃ勘弁だ」

川での氷遊びを思い出したデイダラは大人しく立ち上がり、カーテンを閉めた。
畳の上で情事に及ぶのは申し訳なく思い、押し入れから敷き布団を出した。
座布団に緊張気味に座る雅は、デイダラが一人分の敷き布団を敷いているのを見つめていた。
二人で過ごした三日間はお互いに求め合い、何度も肌を重ねた。
しかし、雅はそれに慣れる気配など一向にない。

「雅、来いよ」

デイダラは敷き布団に腰を下ろし、雅に両腕を広げた。
顔を真っ赤にした雅はゆっくりと立ち上がり、デイダラの前に腰を下ろした。
遠慮がちにデイダラに寄り添うと、広げられていた腕でしっかりと抱き締められた。

「雅は意外と抱かれるのが好きだよな…うん」
「…抱かれるのが好きというより、デイダラに触れられるのが好きなんです」
「っ、あーもう可愛いぞコノヤロー!」

デイダラは雅を抱き締めたままドサリと押し倒した。
そして、雅の耳元で挑発的に言った。

「遠慮しねえからな。
夜まで覚悟しろ」

デイダラは器用な手先で雅の黒衣のボタンを外し、真っ白で透明感のある身体を貪った。
時折切なげに名前を呼ばれるのが堪らなくて、愛しくて。
何時間もかけて、雅をじっくりと愛した。



2018.9.10




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