名残惜しい見送り-2

死んだら傀儡にしてやる――物騒な言葉を見送りに使ったサソリに留守番を頼み、雅はデイダラと共に四人の見送りに来た。
小国の門を角都が片腕で開け、六人で門を出た。
鬼鮫が鮫肌を担ぎながら言った。

「それでは皆さん、またお逢いしましょう」
「鬼鮫さん、どうかイタチさんをお願いします」
「勿論ですよ」

イタチは鬼鮫を軽く睨み、次に雅を見つめた。
雅の目は心配で潤んでいた。

「次はいつ逢えるか分からない。
俺たちも本格的に動くからな」
「また遠くないうちに逢えますよね?」
「ああ」

イタチは目を伏せた雅に近寄り、優しく頭を撫でた。

「デイダラと仲良くな」
「はい」

デイダラは拍子抜けしたが、口を挟まなかった。
イタチの顔が、見た事もない程に穏やかだったからだ。
雅は胸騒ぎがした。
もう二度と逢えないような気がした。

「そんな顔をするな」
「…ごめんなさい」

イタチは雅の黒衣から出ている髪を柔らかく撫でると、雅と額を合わせた。

「お前は笑っていてくれ」

イタチが雅から離れると、雅は精一杯微笑んだ。
額を合わせた二人の顔が近くなった事に拗ねていたデイダラは、イタチと目が合った。

「雅を頼む」
「分かってるよ、うん」

デイダラは口角を上げた。
心配しなくても、雅の孤独を埋めてみせる。
イタチが哀しませた分まで、雅に幸福を与えてみせる。
デイダラは未だに雅を泣かせたイタチに怒っていたが、今はそれを表に出す気にならなかった。

「それでは、我々はお先に失礼しますよ」
「お気を付けて」

雅は二人に頭を下げた。
イタチは最後に雅と見つめ合ってから、無言で背中を向けた。
しくじったら呪ってやっからな!という飛段の声を聞きながら、二人の背中は森の中に遠退いていった。
雅はいつまでも見送っていた。
二人の背中が見えなくなるまで、ずっと。




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