芸術的な着物姿-2

デイダラは洗面台の鏡の前でそわそわしていた。
最高峰の芸術を目の当たりに出来ると思うと、心が躍る。
部屋から待ち侘びた声がした。

「出来ましたよ」

来た、ついに来た。
デイダラは固唾を飲み、ドアをゆっくりと開けた。
部屋の中央には白があった。
真っ白な肌に純白の着物を身に纏う雅が、照れ臭そうに微笑んでいた。

「どうでしょう?」

デイダラは感嘆の溜息を吐いた。
これは紛れもなく芸術だ。
なんて美しいのだろう。
此処は畳の殺風景極まりない部屋だというのに、竜宮城にでも来たのかと錯覚してしまう。
雅は俯き、デイダラに背を向けた。

「何か言ってください…」
「あ…悪い、見惚れてた」

背中の帯も上手く結べている。
雅は器用だ。
デイダラは雅の前に回り込み、その両肩に手を置いた。

「真っ白な雪みたいだな、綺麗だ」
「本当に?」
「嘘は言わねえよ」

雅はデイダラに寄り添った。
着物を着崩さないように、デイダラはそっと雅を抱き締めた。

「雅は雪女って呼ばれるのは嫌いか?」
「変な事を訊くんですね」

デイダラは雅の髪を撫でながら、新品の着物の匂いがした。
普段の雅の優しい匂いの方が好きだ。

「好きでも嫌いでもありません。
考えた事もありませんでしたよ」
「じゃあオイラが雅に雪女みたいだって言っても怒らねえか?」
「怒りませんよ。
デイダラに言われると、不思議と褒め言葉に聞こえますから」
「当然だろ。
褒めてるんだからな」

雅は頬を赤らめ、更に照れ臭くなった。
デイダラの肩口に頬を寄せていると、不意に身体を離された。
小首を傾げると、唇を塞がれた。
触れるだけの口付けを何度か繰り返すと、デイダラが囁くように言った。

「このまま抱いていいか?」
「こ、このままですか…?」
「昨日はお預け喰らったからな…構わねえか?」

駄目と言われても抱くつもりだが。
雅が潤んだ目でデイダラを見つめながら、首を縦に振った。
その返事に満足したデイダラは、着物の帯に手を遣った。
この最高峰の芸術を堪能しよう。



2018.8.17




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