刹「ごめんください」
琥「いらっしゃい。待っていましたよ」
蘇「こんにちはーっす!」
山奥にある琥珀の小屋にやってきた刹那。
ことのはじまりは、琥珀がなれない電子機器を柚狸の手解きを受けながら七隊たちにメールを打ったこと。
『今度、遊びに来ませんか?』
それを受けた刹那は、七隊たちに行ってくるよう促すが、なぜか皆自分に行くよう言って譲らず、仕方なく刹那ひとりでやってきたのだ。
蘇「刹那ちゃん!久しぶりっすねー!」
刹「あなたも変わらずで何よりです。蘇芳様」
蘇「刹那ちゃん、そんな固くならなくていいんすよ?前みたいに…ふぐっ!?」
なにをしたかというと。
刹那が蘇芳の口に土産の大福を突っ込んだ。
刹「…お誘い頂き、感謝します。蘇芳様…?」
蘇「もがーっ!(息がーっ)」
琥「おやおや。ほら刹那さん、いつまでも戸口にいないで、お上がりなさい」
刹「…お邪魔します」
刹那は靴を揃えて中に入る。
琥「今お茶を出しますので、こたつに入っていてください」
言われた通り、炬燵に足を入れる。
琥「どうぞ」
ことん、と目の前にお茶を置かれた。
軽く会釈して、一口すする。
…変わらない。
この小屋も、お茶の味も。
?「…ぬら様」
姿を現した、琥珀の弟子の茜と。
?「?琥珀…その人…、だれ?」
琥珀のもとで暮らしている、空乃。
刹那は以前の共闘の際に、こっそりやってきたために顔を知っているのだが、二人ににとっては初対面。
茜「…だれ?あんた」
刹那は炬燵から出て立ち上がり、頭を下げた。
刹「刹那、と申します。琥珀様にはお世話になっております」
茜「…琥珀、…知り合い…?」
琥「そうです。今日来ると話していたでしょう?」
茜「俺が聞いたのは、あいつらが来るって話だけど」
刹「あいつら?」
刹那が問い返す。
すると琥珀は笑って、
琥「もうすぐですよ」
と言った。
刹那をよぎった嫌な予感。
それは的中することになる。
こんこん
琥「来ましたね」
そして琥珀が玄関の戸を開けると…。
十「やっほー、刹那!」
七隊たちがいた。
刹那は声がでなかった。
刹「な……な、な、…」
今日は、自分だけのはずなのに。
琥「人数は多いほうが楽しいですからね」
琥珀の何でもないような言葉に、刹那は頭を抱えた。
七隊たち曰く、刹那はいつも裏方だといって自分たちに秘密で来たりするから、今回はちょっとごまかしてやろうと思ったとのこと。
刹「あ、あなた方は…!」
琥「さあ、せっかくいらしたのですから皆さんもお入りなさい」
入ってから神流と捺波に視線を向けると、神流は我関せず、捺波は胸の前で手を合わせていた。
刹「どういうことですか?」
神「お前が自分のことをひた隠しにするからだ」
捺「…ごめん、刹那」
そして、刹那がため息混じりに部屋に戻ったとき。
燿によってまたもや爆弾が。
燿「ねえ、ぬらさん。ぬらさんは刹那と知り合い?」
琥「ええ。もうずいぶんと前に会って以来ですね」
慌てて口を挟む。
刹「燿!」
琥「いいではありませんか。たまには昔話も」
その言葉に、刹那の顔から血の気がサァッ…と引いていった。
刹「こ、琥珀様!何を仰ろうというのです!」
十「え、聞きたい聞きたい!」
斎「琥珀様、よろしければお聞きしてもよろしいですか?」
燿「教えてよー」
双「私もー!」
捺「……」刹那に向かって手合わせ
神「……」我関せず
琥「ふふ。いいですよ、あれは…」
[prev] [
next]
[
back]