とある昼下がり。

「…依存しすぎ?…ミノンちゃんが?」

「………ああ。」

アレクサンドリア軍特殊部隊本部のとある一角では、二人の男女が何やら話していた。美しい色の瞳をくるくると表情豊かに動かす女とは対象的に、ごく平坦に男が返す。

「…そう、ねえ……仕方ないじゃない、嫌なの?」

「……そういう問題じゃねえだろ。」

「はいはい…。………じゃあさ、なんかあげたら?」

我ながら名案〜と言いながら瞳を輝かせる女。ニヤリというように形の良い唇が弧を描く。

「は?」

「よくあるじゃない、これを俺と思って云々…みたいな!何か身に付けられるものさ、プレゼントしちゃえば良いのよ。良いじゃない素敵じゃない?」

口調はふざけた様でも内容としては至極まともなアドバイスを口にした女は、早速と言わんばかりに「わぁ何が良いのかしら…予算はどの位にするの?」「貴方目に見えて疎そうよね、経験あるの?」だとか尋ね出した。その表情は新しい玩具を見つけた子供ばりに輝いている。

「…おい……そういうもんなのか?」

「あら、もちろんよ。てゆーかプレゼントって良いじゃない!絶対ミノンちゃん喜ぶって!」

「………。…おまえ面白がってるだろ。」

「バレた?」

「………。」

悪いとは欠片も思ってなさそうな満面の笑みに、深くため息を吐く男。

「……ま、頑張れ!」

良い機会だと思うわよ──そう付け足すと、気ままな妖はどこかへ駆けていった。







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