視界がアカい。
赤、紅、緋、朱…。
何かが必死にアカ以外を探す。
見つからない。
アカ以外は、無い。
アカだけが、有る。
赤に囲まれ、紅を纏わりつかせ、緋に詰られ、朱を見つめる。
──きえてしまえ。
誰かがそっと呟くと、アカの世界に新しい色が生まれた。
炎の色──全てを焼き尽くす焔色。
全て?…違う、己以外を。
いっそ、
自分
(
わたし
)
も燃えてしまえば良いのに。
第V章
朝焼け
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