冬のある日


 ようやく鳴った、待ち遠しかったチャイムの音と共に教室を飛び出した。
 お弁当箱を包んだ包みだけを掴んで、後ろからの獄寺の声など耳に入らず早足で駆けていった。

「こんにちは、雲雀さん」

 ノックと同時に開くくらいのスピードの綱吉に、扉の向こうの雲雀は苦笑を返しながら出迎えてくれた。
 応接セットのソファへと並んで移動し、弁当箱を開く。
 二人で食べるお弁当。
 奈々が雲雀君の分も作ったからね、と持たせた時から、週に2〜3回は共に過ごす昼休み。
 その日が綱吉は楽しみで仕方ない。
 その代わり、ずっと一緒だった獄寺と山本とのお昼は回数が減った。
 そのことが気に食わない獄寺の怒りは、リボーンにビアンキを持ち出されることによって矛先を逸らされた。
 いつかは克服できるのだろうが、今はまだ倒れてしまう。
 その騒ぎでばたばたしている内に暗黙の了解と化していた。
 その影でリボーンが暗躍していたことを綱吉は知らない。

「どうですか?」

 口に合っているのかしら? と今朝奈々が頬に手を当てていたことを思い出した綱吉は尋ねる。
 雲雀が沢田家に訪れた時に食事が出来合いの物ばかりだと判明してからのお弁当だが、綺麗に平らげてはいるが好みが良くわからなかったようだ。

「いつも通り美味しいよ」

 何故そんなことを聞くのかわからない、と首を傾けた後サラリと答えることに綱吉は微笑む。
 良かったです、と自分の弁当から唐揚げを口に放り込み笑う。
 穏やかな時の流れ。獣は食事を誰かに見られるのを嫌うと言う。
 こうして一緒に食べれるということは、それだけ近くにいるということ。
 同じ釜の飯を食うというのは、それだけ連帯感を深めるのに役立つのだ。
 ただのことわざなどでは無いと綱吉はリボーンに叩き込まれていた。




真ん中持ってきてみた。
いや、ヒバツナ揃ってる所で、とか思ったらこんな所に。
改行多めにしてあります。
特殊設定が一つとして無い、普通の話。相方評価「ザ☆ヒバツナッッ!」な辺りから察して下さい。




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