1.


 双子は殺せ。丙午に生まれし子は殺せ。瞳に色を持つ子は殺せ。
 忌み子は、増やすべからず――。

 生まれ育った里の風習だ。外の国ではもう迷信とされているものまでこの里は恐れ、惰性的に言い伝えに従っている。
 父は里の長だった。
 鎖国状態の里から抜け出してはふらりと帰ってきて、外交の話を持ってくる父も、かつては双子の片割れで、選ばれた方だったらしい。それも相まって里の民には囁かれるのだ。「親宝珠様は誠に風狂なお方だ」と。
 本家の長の呼び方をわざわざ選ぶあたり、民も大概だと思えてしまう――ここまで考えて、私はいつも心が塞いだ。



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