矛の名


耳の奥で堆積した
警告音が騒ぐ
手にした針を
向ける先と果てを問い詰めて

口先ばかりに頼り
鳥のように囀る
言葉の意味すらも
もう他人に与えることもせず

胸の中の何かが朽ちた



指し示す手と手
「雑草のようだ路肩にある」
顔についた節穴が
カラリカラリ嘲笑う

黙れ黙れ黙れ
「この目がお前に見えないか」
言い捨てて腰抜けは
針の先を間違える


もっと優しく気立てもよく
いい話題の一つに
必ず挙げられている
そんなふうになりたいなどと
思って繕うのは
嘘と見栄と声
もっと怯えよく恥じらって
負い目のすべてを
受け止めたなら
その後悔の前に残されたのは
三畳間に一つ
歪なデクニンギョウ


針が折れる音がした


指し示す手と手
「雑草のようだ路肩にある」
顔についた節穴が
カラリカラリ嘲笑う

黙れ黙れ黙れ
「この目がお前に見えないか」
言い捨てて腰抜けは
針の先を間違える

指し示す手と手
「雑草のようだ路肩にある」
顔についた節穴が
カラリカラリ嘲笑う

黙れ黙れ黙れ
「この目がお前に見えないか」
言い捨てて腰抜けは
針の先を間違える



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