断片


吹き消された灯(ともしび)の
香り漂う空気の中
よろめく足元

握りしめた手の平に
馴染む温もりと
品やかな鼓動

ずれては組み直しずれては組んで
呼吸もほどほどに喋り明かした
その日々を捨てるのか
私もろとも



影よ影よ
蝕んでおくれ
剥がした手は
今枯れて堕ちた

影よ影よ
上げた慟哭が
すり抜けた手を
風ごと包んで



ずれては組み直しずれては組んで
あなたを忘れて沈み込ませ
葬ってしまえただろうか
虚ろと共に


影よ影よ
蝕んでおくれ
剥がした手は
今枯れて堕ちた

影よ影よ
霞む慟哭が
すり抜けた手を
風ごと包んで

影よ影よ
蝕んでおくれ
これでこの咎は
終わりを迎える

影よ影よ
慟哭を上げた
空虚な涙を
拭う手が見えない


とぐろを巻いた
ほの暗い悲愁
あなたを象る夢の幻
空に窓に空に
漏れ陽も見えずに
凝り固まり続けている
篭り続けている
叫びの断片が
溶けずに残り絡みついている



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