絶後
糸は絡まる
生まれ落ちた命に
臍の緒から入り込み
身体中に伸び侵食し
手を足をもいでゆく
あなたと誰か
繋がっては切れて
結び目だけが残される
宿命(さだめ)など知らされぬまま
雫はまた頬を滑りゆく
ちぎれた思い出と縫い付けられた
真実という嘘
あのひとが託した志は
人込みの中で雑然となった
約束をしよう
遠い時間の奥底に
閉じ込めた言葉
あなたと共に捨てると
嘘を包んだ
真実は飲み下したけれど
喉に閊える
塩味の水に毒され
揺らぎそうな足を
潰してしまったならば
きっと果てでは
空も静かに白み始める
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