セキジツ
つま先を濡らすさざ波が
くるぶしを浸すまで
佇んでいたのは
息の根の終わりを
欲しがっていたからなのか
私をよけて流れていく
砂の脆さを覚え
埋もれていくけれど
冷えが馴染むだけで
風が私をわらっていた
先へゆく手段には
名前しかありはしない
塵を持つ私には
すべてが他人と応えた
どこへでも続くと唄った
誰かの声に
抗うように刻んだ文字は
幾度も消されて
どこへでも続くと唄った
いつかの唇を
かたどっては噛みかたどっては
睨むヒイロの海
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