安寧

あなたが伸ばした
左手の輪郭と筋が
わたしが伸ばした
右手の指と指とに
絡んで
皮膚の下まで温めている

見上げた横顔
雪に溶けるような肌色
陰を挿す髪と
まつげを見つめていれば
合わさる
合わされる視線の面映ゆさ

北風のせいではない
強ばったわたしの面差しを
かさついた指でなぞるあなたに
またかじかみを装った


次の季節に
次の季節にと
託した想いはどこまでも
あてどない

景色が変わり
花が咲き枯れる
その真ん中でまたあなたを
さがす冬

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