令嬢へ捧ぐ
揺らいでいる
ありふれた花に囲まれ
あのひとを乗せた
ゆりかごは地に還る
喪に服した
姿の人々を遠巻きに見て
佇むひとりの
少年など見向きもせず
手向ける詞(ことば)など
なぜ彼が持てただろうか
選べるものなど拙くて
指折る程度で
静やかに閉じられた瞼
それすら前にすることも
叶わないのに
どうぞ安らかに
鐘の導くままに
御霊よどうか
もう一度微笑んで
どうか安らかに
光の柱を渡り
御霊よどうぞ
またお会いできる日まで
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