やあやあ




「帰ってきたよ」という短文なメールを頂いたため急いで家に帰ればそこには久々の再開となる兄がいた。
兄は昔と変わらず爽やかな笑顔を浮かべ「ただいま」と笑い、僕に向かってお土産であろう袋を揺らす。
まさかこんな急に帰ってくるとはな。驚きながら近付けば、昔より伸びた身長のせいで兄を見上げる形になることに気付いた。
昔はここまで身長差なかったのに、やはりそれなりに年月も経っていたのだな。逆に僕を見下ろす形になる兄は愛おしげな眼で笑う。「背、縮んだ?」




「狛枝くん、大学は?」
「やめてきたよ」
「や、やめたの?」
「うん」
「なんで」
「必要なかったから」
「いいの?」
「いいでしょ」
「ふーん」
「あ、今日からここに住むから」
「えっ」
「だめ?」
「だめじゃないけど…」
「仕事もここら辺で見つけるつもりなんだ」
「えええ…そんな、急に」
「大丈夫。苗木くんに迷惑をかけるつもりはないよ」
「うん…」
「だから、また一緒に暮らそう。幸せになろう」




はにかみながら言う兄に、僕は数年前犯した過ちを思い出した。

幸せ、か。きっと再び過ちが繰り返されるだけなのに。
そうは思っても拒めずそのまま沈んでく僕も悪いんだろう。知ってる。




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