Boy of the flask drama | ナノ


▽ Sincere fetters-3


 小さくなったコネクトを肩に乗せ、街に戻ろうと魔物を倒しながら進んでいると黒髪の剣士が見えた。キリトに気付いたコネクトは威嚇し、それに気づいたキリトがこちらを見て目を見開く。先ほどまで敵対していたと思われる一人と一匹が仲良さ気に連れ立っているのだ。誰だろうと驚愕するとは思うが、キリトはフォームがビーストテイマーになっていることにいち早く気付いた。

「…ビーストテイマーになったのか」
「先程は失礼しました」

 小さく呟いたキリトに言い、踵を返す。呆然としているキリトにコネクトが最後にもう一度ふしゃー、と威嚇してそっぽを向いた。

「…出来るだけ目を付けられたくないんだ。あんまり目立つようなことはしないで」
『私を連れ立たせてる時点で目立つわ。気づかなかったの?ビーストテイマーは珍しいのよ』

 コネクトの言葉に小さくため息をつく。彼女は真っ白なその身体をフォームの首に巻きつけ、赤いルビーのような瞳でフォームの青い瞳を射ぬいた。綺麗な目、と呟いたコネクトに被りを振る。蒼い、グラデーションがかった子の瞳は真っ白な髪の毛と一緒にフォームのコンプレックスだった。無造作に伸ばされた髪の毛。後ろ髪は女子のように背中まで伸び、前髪はフォームが嫌っている青い瞳を覆っている。

 孤児院には金がなく、美容院に行く暇もなかったために皆それぞれ適当に髪の毛を伸ばしていた。女子になると腰まで行くほど長い子供たちもいたのは、孤児院の子供たちがフォームも含め、揃いも揃って髪を切るのが下手だったに限る。フォームの髪の毛もその影響を受け、小学に上がるときに一度切ったきりだ。小学校では女子に混ざってもわからないほどに伸びたフォームの髪の毛をいじりながらコネクトは鼻歌を歌っていた。

『私はあなたの髪と瞳、好きよ。すごく綺麗だもの』

 そういって笑ったコネクトが見たのは頬を赤くしたフォームだった。白い肌に刺したほんのりとした赤味にコネクトは目を見開き、そしてまた笑った。かわいいというコネクトに対しフォームはうれしくない、と返す。しかしその頬に刺している桃色の所為で台無しだ。コネクトは笑いをかみしめがらフォームの頬にすり寄った。

『これからよろしくね、マスター』
「…うん、よろしく。コネクト」

 二人は笑顔をお互いに見せる。襲ってきた魔物に剣を向けるフォームにコネクトはその魔物が喋る者か否か…要約、コンピューターなのか生きているのかを伝える。目の前の魔物が生粋のコンピューターだと理解したフォームはソードスキルを発動させ、魔物の体を切り裂いた。その口が大丈夫だとつぶやく。大丈夫だ、私はまだここに生きている、と。



Sincere fetters―誠実な足枷+終


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