とても幸せです

現代に転生したスレミクのお話





ああ、この世はなんて幸せなところなのだろう。


スレイは変わった。そんな考えをミクリオはすぐに打ち消した。(いや、違う)変わったのではない。("前"は我慢していただけ、か)変わってなど、いない。
"前"と同様に幼い頃から共に育ってきたスレイとミクリオ。"前"とは違い、穢れる事によって憑魔という存在になる恐れなど無いこの世で、スレイは"前"は必死に抑え込んでいたものを溢れさせた。

「ただいま」

まだ母親のミューズは帰っていない為、ミクリオの言葉に返事は返ってこない。静かな家の中を歩き、階段をあがって自室へと向かう。そして自室の扉を開いた瞬間、中から伸ばされた手にミクリオの腕は掴まれそのまま部屋の中へと引きずり込まれてしまった。
直後に感じたのは背中への衝撃と痛み。そして、首筋に触れた温もり。
何が起こったのか。誰の仕業なのか。それをミクリオはすぐに理解する。だってこんな事は今に始まった事ではないから。

「スレイ」

ミクリオの部屋でミクリオを待っていた幼馴染み。ミクリオを部屋の中へと引きずり込んで床に押し倒した犯人である、幼馴染み。そんなスレイの頭へとミクリオはそっと手を伸ばし、撫でてやる。

「…遅い。どこに行ってたんだよ。誰とどこにいたの」
「本屋に寄っていたんだ。一人で、だよ。すまない。メールくらいすれば良かった」
「本当に、一人で?」
「ああ。一人で。信じられないか?」
「ううん」

信じる。ミクリオのこと、信じてるよ。
そう言いながらスレイはミクリオを抱きしめ、肩にぐりぐりと額を押しつけた。

この世でスレイが溢れさせたもの。それはーー独占欲。
"前"は穢れないようにと必死に我慢していたものだ。
それを溢れさせたスレイはミクリオの全てを独占したがる。スレイの心も体も、時間さえも。ミクリオが傍にいないと不安で不安で仕方が無いのだ。

「ミクリオ、ミクリオ」
「うん」
「好きだ。好きだよ、ミクリオ」
「うん。僕もだ、スレイ」

スレイの唇が首筋を撫で、その感覚にミクリオは背中を震わせる。
スレイ。掠れた声で名前を呼び、スレイの背中へと手を回したのが合図となり、今度はスレイの舌がそこを撫でた。

「ミクリオ、ミクリオ」
「うん」
「もう、我慢しなくて良いんだよな、ミクリオ」
「うん…そう、だ」
「もう、ミクリオの全てを求めても、いいん、だよ、な?」
「うん…ぁ…」

ミクリオ。名前を呼ばれ、顔を上げたミクリオの視線の先ではスレイが嬉しそうに口元に笑みを浮かばせていた。

「ミクリオ、愛してる」

だから、離れないで。




-end-

浮かぶのは幸せスレミク。書けるのはどこか病んでて黒い導師様(˘ω˘)
現代に転生して穢れとか関係なくなって独占欲バリバリなスレイくんとそんなスレイを受け入れてるミクリオでした(˘ω˘)


2015.04.16.黒太郎

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