夏休みは二人で
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「遅れました〜」
息を切らして生徒会室に入ってきた一人の女子生徒。
生徒会メンバーの夏子。
「あ!待ってたよ〜夏子ちゃん」
「遅かったな」
「うん、先生のお手伝いしてたんだ」
「桂木先生か」
「そうそう。ちょうど手が空いてたから」
オレが未だに想いを伝えられない相手は、この夏子だった。
「昴先輩?どうかしました?」
目の前で手をひらひら振られる。
「なんでもねぇよ」
「ならいいんですけど」
にっこり笑って席に着く夏子。
「夏子は夏休み、どうすんの?」
「夏休み?・・・うーん、特に決めてないけど」
「予定ねーのかよ、色気のない女だな」
「そういう海司はどうなのよ。どうせ部活しか予定ないんでしょ?」
「そ、それとこれとは話が別だろ?」
夏子と海司は幼馴染らしい。
だからってじゃれてる二人を見てるのは正直面白くない。
オレは悟られないように窓から外を眺める。
ギラギラと太陽が照りつけて夏の匂いがした。
そろそろ・・・覚悟を決める時なのかもしれないな。
青い空を見上げてそんな風に思った。
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